イスラエル、ヨルダン川西岸の入植地5カ所を承認へ 非難相次ぐ
(CNN) イスラエル政府は、支配下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で違法に建設されたユダヤ人入植地5カ所を承認することに合意した。イスラエルの極右派スモトリッチ財務相の報道官が30日、明らかにした。スモトリッチ氏はイスラエルがパレスチナ自治政府に代わって徴収する税金の凍結を解除する意向も明らかにした。
パレスチナ自治政府への税金支払いの凍結解除は「即時」であり、過去3カ月分を対象とするという。この徴税資金は昨年10月7日の攻撃以来、凍結されている。
イスラエル首相府は報道についてまだ公式なコメントを出していない。承認されれば、入植地はイスラエルの水、電気、医療を利用できるようになり、より同国の一部に近づく。
ヨルダン川西岸の一部を統治するパレスチナ自治政府は30日、CNNに対し、イスラエルからはまだ資金も公式の声明も受け取っていないと語った。
スモトリッチ氏はパレスチナ独立国家の創設に反対しており、長年、入植地建設を支持してきた。入植地はヨルダン川西岸が独立国家の一部になるのを防ぐ手段だと指摘している。
欧州連合(EU)のほか中東数カ国がこの計画を非難している。EUの報道官は、EUはスモトリッチ氏の発表を「最も強い言葉で非難する」とし、「これは和平努力を損なおうとする別の意図的な試みだ」と断じた。
カタールやエジプト、サウジアラビアも今回の発表について国際法と安保理決議違反だと糾弾している。
イスラエルは、1990年代にパレスチナ人とオスロ合意を締結したにもかかわらず、数十年にわたりヨルダン川西岸で入植地を拡大してきた。この合意は、イスラエルとパレスチナの紛争解決に向け、ヨルダン川西岸とパレスチナ自治区ガザ地区にパレスチナの独立国家を樹立することを見据えていた。
このような入植地は、国際法違反とみなされている。