環境活動家に禁錮刑、環状道路での抗議活動巡り 英国
(CNN) 英PA通信によると、環境団体「ジャスト・ストップ・オイル」の活動家5人が2022年、ロンドンの主要環状道路を封鎖する抗議活動に関与したとして禁錮刑を言い渡された。気候対策活動家からは批判が巻き起こっている。
判事はロンドンの裁判所で18日に開かれた判決公聴会で、同団体の共同創設者を含む22~58歳の活動家5人は22年11月に4日間連続でロンドンを囲むM25環状道路のガントリーに抗議者を登らせ、交通を混乱させることに同意したと述べた。
共同創設者は禁錮5年、残りの4人はそれぞれ禁錮4年の判決を受けた。
同団体は英国政府に対し、30年までに石油と石炭の採掘と燃焼を終わらせる国際的な法的拘束力のある条約を締結するよう求めている。近年は文化遺産や芸術作品にスプレー塗装をしたり、大きなスポーツイベントを妨害したりするなど、その抗議活動に注目が集まっている。
PA通信によると、検察は45人がガントリーに登ったこの抗議活動による経済損失は少なくとも76万5000ポンド(約1億6000万円)、ロンドン警視庁の損失は110万ポンド、70万台以上の車両が影響を受け、M25が120時間以上「危険にさらされた」と主張したという。
判事は、活動家らが「懸念を抱く活動家から狂信者へと一線を越えた」と断じた。
検察官は22年11月9日に抗議活動によって発生した交通渋滞で警察官がバイクから落下し、脳しんとうと打撲を負ったと主張したという。
判決は環境団体や科学者から批判を集めている。
ジャスト・ストップ・オイルはこの判決を「卑劣な正義の歪曲(わいきょく)」と非難。
活動家グループが出した声明の中で、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのビル・マクガイア教授は、「裁判と評決は茶番だ」と批判。今回の裁判は言論の自由に対する攻撃であり、裁判官が気候崩壊を意見と信念の問題とみなしたことは並外れた無知を示していると断じた。