バングラデシュ首相が辞任、死者多数の反政府デモ受け 全国規模で混乱
ダッカ(CNN) バングラデシュのハシナ首相が5日、辞任した。同国では数週間にわたる反政府デモで死者が出ており、首都ダッカの首相公邸にもデモ隊が押し寄せる事態となっていた。
現地の画像には、首相公邸近くで車両が燃え上がり、警官隊が大挙して押し寄せる群衆を押さえ込めずにいる様子が写っている。
ダッカでCNNのために職務に当たるジャーナリストによれば、軍と警察はこの日、デモ隊に攻撃を加えている。
4日には警官とデモ隊の衝突で少なくとも91人が死亡、数百人が負傷した。デモ隊は差別的だとする公務員採用の優遇枠の撤廃と首相の辞任を要求していた。
上記の死者には警官13人も含まれる。抗議デモで出た1日の死者数としては近年の同国の歴史で最多となった。
国内の各都市に騒乱が広がる中、政府は先週末に全国規模で無期限の外出禁止令を発令した。人権団体は当局がデモ隊に対し過剰な実力行使に出ていると非難するが、政府はこの主張を否定している。
ハシナ氏の辞任を受け、軍が暫定政権を樹立する見通し。ワケル・ウズ・ザマン陸軍総司令官が明らかにした。ザマン氏は5日、学生らに対し「平穏を保ち、自分たちに協力するよう」呼び掛けた。
ロイター通信によれば、4日の時点でハシナ氏は学生のデモ隊を「テロリスト」であり「国を不安定化している」と非難していた。
今年初めから人権団体は、バングラデシュで政治的暴力の報告が増加していると懸念を示していた。1月に行われた総選挙では与党が勝利し、ハシナ氏が4期目続投を確実にしたが、野党は選挙をボイコット。同氏とその政府が一党体制の権威主義に向かっていると警鐘を鳴らしていた。