喜びと恐怖と ロシアへの越境攻撃、見守るウクライナ人は複雑な心境

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ロシアの攻撃により破壊された住居=13日、スムイ州/Roman Pilipey/AFP/Getty Images
ロシアの攻撃により破壊された住居=13日、スムイ州/Roman Pilipey/AFP/Getty Images

スムイ州の当局者によれば、過去数日の間に数百人が避難所を訪れた。スムイへの攻撃が始まり、人々が家を離れざるを得なくなったという。9日に270人、10日に382人、11日に250人が避難してきた。

こうした人数はロシア側と比較すると少ないように見える。ロシア南西部クルスク州の当局によれば、同州では約18万人に避難指示が出されたほか、周辺の各州でも数千人が避難している。

だが、多くのウクライナ人にとって隣人に同情する余地はほとんどない。

フェドルコフスカさんの祖父母は22年に戦争が勃発した後も自宅に住み続けた。集落はクルスク州に近く、ロシアによる全面侵攻が始まると頻繁に攻撃を受けたにもかかわらず。

しかし、ウクライナ軍が驚きの越境攻撃を開始すると、あまりに危険な場所となってしまった。

フェドルコフスカさんによれば、クルスク州への攻撃が始まると、ロシア軍が国境付近からいなくなったため、大砲や迫撃砲による攻撃はやんだ。しかし、誘導爆弾や航空機による攻撃が激しくなり、そのため祖母は家を離れなければならなくなったという。

最前線から遠く離れた場所にいる人々は、ロシア側も自国領土への侵攻というしっぺ返しを食らったことで、今回の戦争が終結に向かうのではないかと期待を寄せる。

ウクライナ第2の都市ハルキウでカフェ店を営むボリス・ロマコさんは「これは、どんな行動も反応を引き起こす可能性があるというロシアへのメッセージだ。あなたが攻撃する。我々も攻撃する」と語った。

ロマコさんはCNNの取材に対し、今回の反攻によって、何カ月にもわたり絶え間なく砲撃を受けてきたハルキウでの呼吸が少し楽になると信じていると語った。

ウクライナ首都キーウに住むアンドリー・レギンさん(40)は、「狂った独裁者」であるプーチン・ロシア大統領の対応を懸念している。

レギンさんは、ロシアが軍事的な対応などあらゆる方法で対応する可能性があると述べ、「あるいは戦争の舞台がロシア領に移ったことでロシア国民の間で何らかの変化が起こる可能性もある。ロシア人がこれにどう反応するのか見守るつもりだ」と言い添えた。

レギンさんは、それでも一つだけ確信していることがあると語った。「私たちウクライナ人が反攻を楽しんでも何の役にも立たないと思う。しかし、これが平和を求める唯一の方法なら、もしかしたら、うまくいくかもしれない」

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