喜びと恐怖と ロシアへの越境攻撃、見守るウクライナ人は複雑な心境

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避難所に身を寄せるハンナ・フェドルコフスカさん(21)と祖母=ウクライナ・スムイ/Daria Tarasova-Markina/CNN

避難所に身を寄せるハンナ・フェドルコフスカさん(21)と祖母=ウクライナ・スムイ/Daria Tarasova-Markina/CNN

スムイ/キーウ(CNN) ウクライナ軍がロシア領に対して驚きの越境攻撃を進めるなか、国境付近で暮らすウクライナの人々は、正義が果たされた喜びと同時に次に何が起こるのかわからない恐怖が入り混じった複雑な思いで状況を見守っている。

ハンナ・フェドルコフスカさん(21)はロシアとの国境に近いスムイの避難所でCNNの取材に対し、「これは(ロシア人が)私たちの土地に入り込んできたから起きた出来事だ」と述べた。「私たちがロシア領に入ったのは、ロシア領が欲しいからではなく、彼らが私たちの家に来て、私たちの平和な人生を奪い去ったからだ」とし、今回の侵攻が無駄にならずに、平和がもたらされてほしいと語った。

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、ウクライナ軍がロシア領奥地へとさらに侵入し、数百平方キロの領土を獲得したと主張した。ウクライナ政府は、ウクライナ軍がロシア領内に「緩衝地帯」を拡大しており、これがウクライナ北部の守りを固めることにつながると説明している。

フェドルコフスカさんは72歳の祖母と避難所を訪れた。祖母は52年間にわたって夫と暮らした家を離れなくてはならず、悲しみに暮れていた。

2人はここ数日の間に国境付近から避難してきた数百人のウクライナ人の一部だ。

驚きの反攻はウクライナ軍に必要としていた勢いをもたらした。しかし、フェドルコフスカさんらウクライナ人の中には、ロシア軍が反撃に必要な兵士をそろえたら何が起こるのか心配する人もいる。

元兵士で東部のドンバス地方で従軍した経験を持つセルゲイ・ゼムリャコフさんは避難所でCNNの取材に対し、現在ウクライナ軍が押さえているロシア領を保持できなければ、スムイ州が大変なことになるのではないかと述べ、「第2のマリウポリ」になるのではないかと危機感を示した。

アゾフ海沿岸に位置するドネツク州マリウポリは2022年、数カ月間にわたる包囲と爆撃の末にロシアの支配下となった。数千人の死者が出たと報じられたほか、恐怖と飢餓にまつわる物語が広まった。

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