太平洋の海水温・海面、世界平均上回る速度で上昇 国連事務総長「海があふれている」
(CNN) 国連のグテーレス事務総長は27日、南太平洋の島国トンガの首都ヌクアロファで開かれた太平洋諸島フォーラムの会合で「私たちの海を救おう」という「SOS」を発信した。グテーレス氏は人為的な気候危機による深刻な脅威にさらされている脆弱(ぜいじゃく)な国々に資金と支援を大幅に増やすよう世界に訴えた。
グテーレス氏は「海があふれている」と語った。「これは狂気の状況だ。海面上昇は完全に人類が作り出した危機だ。この危機はすぐに想像を絶する規模にまで膨れ上がるが、私たちを安全な場所へと連れ戻してくれる救命ボートはない」
グテーレス氏の警告と時を同じくして発表された2件の国連報告書は、気候危機によって海洋の壊滅的な変化が加速する様子を詳しく説明している。
世界気象機関(WMO)の年次報告書「気候の現状」によると、南西太平洋の海面温度は1980年以降、世界平均の3倍の速さで上昇している。
この地域の海水位は過去30年間で世界平均のほぼ2倍の速さで上昇している。
その間、「海洋熱波」の頻度は倍になり、より激しく、長期化するようになったという。
報告書によると、海洋は、人間が化石燃料を燃やして汚染物質を放出することで引き起こされる地球温暖化の90%を吸収している。
水は温まると膨張し、氷床や氷河は融解することで体積が増加するため、海水温の上昇が海面上昇を加速させている。