中国の労働者、定年引き上げへ 数十年ぶりの見直し

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中国東部安徽省の阜陽市にある公園でくつろぐ高齢者たち/CFOTO/Future Publishing/Getty Images

中国東部安徽省の阜陽市にある公園でくつろぐ高齢者たち/CFOTO/Future Publishing/Getty Images

香港(CNN) 中国政府は13日、来年1月から15年間かけて定年を引き上げる案を可決した。国営新華社通信が報じた。中国の労働者は数十年にわたり男性は60歳、女性は早ければ50歳と比較的若いうちに定年を迎えていたが、それが全面的に変化しそうだ。

現行の規則では、都市部の男性は60歳で引退して年金を受け取ることができ、女性の定年は職業に応じて50歳、あるいは55歳となっている。新規則は男性の定年を63歳、女性の定年を55歳か58歳に徐々に引き上げる内容。

一連の措置は中国の全国人民代表大会(全人代、国会に当たる)が、中国共産党の重要機関の方針を受けて承認した。あわせて、年金を毎月受け取るための最低労働期間を15年から20年に延長する案も示されている。こちらの変更は30年から始まる。

また既に最低労働期間を終えた人を中心に、定年に多少の柔軟性を設ける方針も盛り込まれた。

今回の変更については、中国政府が約10年間にわたって検討を重ねてきた。中国経済が減速し、迫り来る急速な人口高齢化や年金危機への対処に中国政府が苦慮する中での変更となる。

中国のSNSでは発表を受け、直ちに議論と反発が広がった。

一部のユーザーは変更がそこまで抜本的な内容にならず、多少の柔軟性が盛り込まれたことにほっとした様子だった。中国版Xの微博(ウェイボー)上では、「引退するかしないかを自分たちの意思で決める選択肢がある限り、異論はない」とのコメントに数千のいいねが寄せられた。

年金の受け取りが遅れる見通しとなったことに不満を示したり、若年失業率の高止まりで既に厳しい労働市場がさらに圧迫されることを心配したりするユーザーもいた。

ユーザーの一人は「定年引き上げの意味は63歳になるまで年金を受け取れないということだけではない。全ての人に定年まで職があるわけではない!」とつづった。

中国の現行の定年は多くの主要経済国に比べて若い水準にある。2022年時点の経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均標準定年は女性が63.6歳、男性が64.4歳だった。

定年制度を巡っては他国も対応に苦慮している。フランスでは23年、年金受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる政府の試みに抗議して大規模デモが発生。米国も定年改革について議論しており、徐々に定年を引き上げている。

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