絶滅危惧種のワニ125頭を殺処分、台風で飼育舎破損し脱走の恐れ タイ
バンコク(CNN) 猛烈な台風「11号(ヤギ)」で大きな被害が出たタイ北部のワニ農場で、絶滅危惧種のワニ125頭が脱走を防ぐために殺処分された。
タイ北部ランプーンでワニ農場を経営する「クロコダイルX」ことナタパック・クムカドさん(37)は、深刻な絶滅の危機に瀕しているシャムワニを飼育していた。
ところが台風に伴う大雨の影響で飼育舎の壁が崩れそうになっていることに気付き、大急ぎで別の飼育場所を探そうとした。しかし中には体長4メートルの個体もいて、十分な大きさの施設を見つることはできなかったという。
ナタパックさんはワニが脱走するのを防ぐため、9月22日に125頭を殺処分した
「私は全頭を殺すという人生で最も困難な決断をしなければならなかった」。クムカドさんはCNNにそう語り、「家族と私で話し合って、もしも壁が崩れたら、人命に対する被害は到底自分たちの手に負えなくなると判断した」と振り返った。
猛烈な台風「ヤギ」は中国や東南アジアで大きな被害を出した。タイ北部でも住宅の浸水や河川の氾濫(はんらん)で少なくとも9人が死亡している。
ナタパックさんは17年前からワニ農場を営んでおり、これまでは毎年雨季を乗り越えてきた。しかし今年は何日も続いた大雨でワニ飼育舎の壁が浸食されたという。「みるみる浸食していくのを見て24時間以内に決断を迫られた」とナタパックさんは言い、ワニたちは感電死させたと言い添えた。
ランプーン県の当局者も「もし成体のワニが近くの水田に脱走していれば、公衆の安全が重大な危険にさらされていた」としてナタパックさんの決断を評価した。
殺されたワニの中には、群れのボスだった体長4メートルのオスのワニ「アイハーン」もいた。