病院で生きたまま焼かれた母子 家族が語るイスラエル攻撃の惨状
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区にあるアクサ殉教者病院。アフマド・ダルさんが昨年10月、家族を連れて来たのは、ここに避難すれば安全だと思ったからだった。しかし同病院は今月13日、イスラエルに攻撃され、妻のアラアさん(37)と10代の息子のシャアバン君が焼け死んだ。
現場からの映像には、焼け焦げたテントの中に倒れたシャアバン君が映っていた。炎と煙の中に腕の輪郭がのぞく。シャアバン君は今月上旬、同じ病院に対する攻撃で負傷して、家族のベッドで寝ていた。父は椅子で眠り、アラアさんは年少の子どもたちと一緒にテントの床で寝ていた。
「突然、雷が私たちを襲った。炎の塊が。息子はベッドに残され、私は椅子の上で後ろに倒れた。子どもたちが炎に包まれるのを見て、私は火の中に戻った」。ダルさんはCNNにそう語った。子どものうち3人は救出できた。
「炎はシャアバンもベッドも何もかも焼き尽くした。私には何もできなかった。シャアバンが炎にのまれるのが見えた。私は座り込んで言った。『許してくれ、何もしてやれない』と。何もできないまま、炎が息子を焼き尽くす光景を見ているのは耐えられなかった」
シャアバン君の兄弟のモハマド君も助けようとしたが、誰かに後ろから止められた。「父は顔と右手にひどいやけどを負っていて、母も兄弟も助けられなかった」と振り返る。
モハマド君によると、母のアラアさんは炎を前にしても、まるで眠っているかのように、じっと身動きしないままだった。「兄弟のシャアバンも、全身を火に包まれても叫び声を上げなかった」
イスラエル軍は、ハマスの司令部に対する「照準攻撃」だったと主張している。その根拠は示していない。