ステルス戦闘機に巨大なドローン母艦、中国最大の航空ショーに登場したハイテク兵器群

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珠海航空ショーで初飛行を披露する中国のステルス戦闘機「J35A」/Chen Jimin/China News Service/VCG/Getty Images via CNN Newsource

珠海航空ショーで初飛行を披露する中国のステルス戦闘機「J35A」/Chen Jimin/China News Service/VCG/Getty Images via CNN Newsource

香港(CNN) 中国南部の珠海で先ごろ開催された国内最大の航空ショーで、急速に進展する同国の軍事技術がお披露目された。一連の最新鋭兵器の紹介を通じ、中国は自国の軍事力、産業力を一般に公開。国外の専門家にその実力を検証する希少な機会を提供した。

最新兵器の多くについて、専門家らは米国に匹敵する水準にまで開発が進んでいるとの認識を示す。中国政府は軍の近代化を押し進め、アジアでの軍事的な存在感を高める意向を強く打ち出している。

珠海航空ショーは今月12日から17日までの6日間にわたり開催された。期間中は60万人近い来場者が訪れ、2800億人民元(約6兆円)を超える世界規模の契約が交わされたと国営メディアは伝える。会場にはロシアの前国防相の姿もあったという。

今回の航空ショーで最も注目を集めた新兵器システムのいくつかを以下に挙げる。

J35Aステルス戦闘機

J35Aは、2017年に就役したJ20に次ぐ2機目のステルス戦闘機。同機の就役により、中国は米国に続き、2タイプのステルス戦闘機を所有する2番目の国となった。

J35Aの外観が米国製のF35と似通っていると指摘する向きもあるが、F35がターボファンエンジン1基なのに対し、J35Aは2基のエンジンを装備する。

中国の軍事専門家が国営中央テレビ(CCTV)に述べたところによると、J35Aの最大離陸重量は30トンに迫るとみられる。中国における新世代の中型ステルス戦闘機としては「画期的な」機体だという。

別の軍事コメンテーターはJ35Aの主要な特徴について、その明確な多用途性にあると指摘する。空戦で性能を発揮するだけでなく、地上や海上の標的に対する精密爆撃も行えるという。

地対空ミサイルシステム「HQ19」は、航空ショーでの公開が最も待ち望まれていた兵器の一つ/Costfoto/NurPhoto/Getty Images via CNN Newsource
地対空ミサイルシステム「HQ19」は、航空ショーでの公開が最も待ち望まれていた兵器の一つ/Costfoto/NurPhoto/Getty Images via CNN Newsource

HQ19対弾道ミサイルシステム

専門家らは中国の次世代地対空ミサイルシステム「HQ19」を、米国製の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD<サード>) になぞらえる。

HQ19は迎撃用ミサイル6基を搭載し、打ち上げ方法は「ガス圧発射式」を採用。これにより発射時のストレスは軽減され、迎撃ミサイルの迅速な再配備が可能になると、国営メディアは報じている。

中国はHQ19の技術的な仕様を公開しておらず、ミサイルの射程や速度でTHAADに並ぶ性能を備えているのかどうかは不明。中国軍に関する20年の米国防総省年次報告書によると、HQ19は既に発射試験を通じ射程3000キロの弾道ミサイルに対する迎撃性能を実証している。

また最も注目すべき点として、中国の専門家や国営メディアはHQ19が極超音速滑空体(HGV)を大気圏で迎撃できるとも主張している。

中国軍の新型無人航空機(UAV)「ジェタンク」/Kyodo News/Getty Images via CNN Newsource
中国軍の新型無人航空機(UAV)「ジェタンク」/Kyodo News/Getty Images via CNN Newsource

ドローンの母艦「ジェタンク」

巨大な母艦用ドローン「ジェタンク」は、国営メディアによると最大積載量6トン、翼副25メートル、最大離陸重量16トン。中国軍が所有する同種の兵器の中では最も大型だ。

ジェットエンジンで稼働する攻撃兼偵察用のこの無人航空機(UAV)は、8カ所のハードポイント(機外兵装ステーション)に装着する形でミサイルや爆弾を運搬する。また種類の異なる小型ドローン(無人機)も複数運搬できる。

ステルス性能を備えた無人水上戦闘艇「オルカ」/Long Wei/Feature China/Future Publishing/Getty Images via CNN Newsource
ステルス性能を備えた無人水上戦闘艇「オルカ」/Long Wei/Feature China/Future Publishing/Getty Images via CNN Newsource

ステルス無人船「オルカ」

「オルカ」の名称で知られるJARI-USV-Aは、高速移動するステルス性能付きの無人水上戦闘艇だ。

重量は500トンで、レーダーの高度な遮断を念頭に置いた設計。ユニークな三胴船の構造により、荒れた海上でも安定性が維持できると国営メディアは伝える。

全長は58メートル。最高速度は時速約74キロで、航続距離は約7400キロとなっている。中国軍の公式英語版ニュースサイト、チャイナ・ミリタリー・オンラインによると長期間の任務を再補給無しでこなせるという。

同サイトは19日の記事でオルカを「海上の動く要塞(ようさい)さながら」と形容。視界を越えた標的への攻撃や対空・対ミサイル防衛、対潜水艦攻撃といった任務が可能だと説明した。

オルカにはロケット弾や対艦ミサイル、対空ミサイルを搭載できる他、後部にあるプラットフォームで無人ヘリコプターの離発着も行えるという。

会場で展示されたジェット戦闘機と「PL15」ミサイルのスケールモデル/Zou Wei/VCG/Getty Images via CNN Newsource
会場で展示されたジェット戦闘機と「PL15」ミサイルのスケールモデル/Zou Wei/VCG/Getty Images via CNN Newsource

PL15E空対空ミサイル

中国は空対空長距離ミサイル「PL15」の新型も公開した。テールフィンが折りたたみ式となったデザインは、ステルス戦闘機へのよりコンパクトな搭載を可能にする。

航空ショーの会場で、PL15Eはステルス戦闘機J35Aと並ぶ形で展示された。

PL15は中国で最も強力な空対空ミサイルの一つ。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によればその射程は200キロ前後で、最高速度は音速の5倍を上回る。

珠海航空ショーに登場したロシアの「Su57」第5世代戦闘機/Hector Retamal/AFP/Getty Images via CNN Newsource
珠海航空ショーに登場したロシアの「Su57」第5世代戦闘機/Hector Retamal/AFP/Getty Images via CNN Newsource

Su57ステルス戦闘機

航空ショーではロシアの最新鋭戦闘機「Su57」も展示された。同機がロシア国外でお披露目されるのは初めて。

Su57が珠海航空ショーで国外デビューを飾った事実は、中ロの緊密な軍事協力を伝える明確なメッセージとなっている。

国営メディアの環球時報によると、ロシアのショイグ前国防相は年次の中ロ戦略安全保障協議に出席するため訪中。その際航空ショー会場にも立ち寄り、Su57が展示されているのを確認したという。

航空ショーで最初に成立したのは、ロシアによるSu57の海外顧客への輸出契約だった。ロシア国営タス通信が報じた。買い手は明らかにされていない。

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