限りない敵、不眠不休 ロシア・クルスク州を維持するウクライナ軍兵士に聞く

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クルスク州での攻撃で死亡した兵士の葬儀の様子=11月、ウクライナ・イルピン/Evgeniy Maloletka/AP

クルスク州での攻撃で死亡した兵士の葬儀の様子=11月、ウクライナ・イルピン/Evgeniy Maloletka/AP

スムイ(CNN) ロシア南西部クルスク州での夜明けの襲撃は銃撃戦に発展することはなかったものの、ロシア領内での戦闘の激しさを物語っていた。1日の薄暗い夜明け、5人のロシア兵が前進したが、ドローン(無人機)の赤外線の画像が示すように、樹木にそって隠れようとしたものの、ドローンによって殺されるか負傷するかした。

ウクライナの第225強襲大隊の部隊長オレクサンドル氏は11時間後、ウクライナ・スムイ市にあるカフェで、戦闘について振り返り、「(ロシア側には)無限の兵力がいるという印象を持っている」と語った。

「彼らは集団を送り込み、ほとんど誰も生き残らない。そして翌日、集団が再び出発する。次のロシア人たちは前のロシア人に何が起きたのか知らないようだ。彼らは未知の世界に行く。誰も何も教えてくれないし、誰も戻ってこない」(オレクサンドル氏)

オレクサンドル氏と同席している2人の同僚は、絶え間なく続く砲撃のせいで、耳が聞こえにくい。オレクサンドル氏らは、ほぼ4カ月にわたるクルスク州占領について、貴重な内実を語ってくれた。

8月に行われた越境攻撃はウクライナ政府にとって数少ない戦術的成功だった。しかし、越境攻撃に多大な人的・物的資源が投入されたため、これによって生じた人員や兵器の不足が、ウクライナ東部ドンバス地方でのロシア軍の進撃の一因となったとの批判の声も出ている。

越境作戦を支持する人たちは、これにより今後の和平交渉で、ウクライナ政府が大きな交渉力を持つことができるようなったと主張する。ロシアとウクライナとの和平交渉は、トランプ次期米大統領が始める可能性がある。つまり、ウクライナは少なくとも来春まで、クルスク州の陣地を維持する必要があることを意味する。

オレクサンドル氏は所属する部隊が持ちこたえられると自信を示したものの、その理由については確信を持てていないようだった。「本当の目標が何なのかが分からない。たとえば、ここを4カ月間歩き回って、向きを変えて立ち去るべきかもしれない。ある時点まで我慢することが目標ならば、我々はそうする」

オレクサンドル氏は、トランプ氏へのメッセージを尋ねられると、ウクライナ政府が核兵器を放棄する代わりとしてウクライナに与えられた安全保障を守るよう西側諸国に求めた。1994年の「ブダペスト覚書」では、ロシアと英国、米国は、ウクライナとベラルーシ、カザフスタンに対して、核兵器の放棄と引き換えに安全を保障した。

オレクサンドル氏は「約束を守ってほしい。我々は虐殺されているのに、あなたたちは自分の利益を守るために、まだゲームをしようとしている。この戦争を2日で終わらせるためには全力を尽くさなければならない」と述べ、「ロシアの前で小便を漏らしている米国や英国の言葉を誰が信じるのか」と続けると、笑いながら、暴言を許してほしいと言い添えた。

オレクサンドル氏によれば、クルスク州での最近のロシアの攻撃は、効果がないだけでなく、犠牲が大きいことがわかったという。こうした見方とは別に、ウクライナ当局者は占領したロシア領の40%がその後、ロシアに奪還されたことを認めている。

オレクサンドル氏によれば、ウクライナ軍がクルスク州で対峙(たいじ)したロシア軍には、よく訓練された第76空挺(くうてい)旅団だけでなく、組織化が進んでいないチェチェン人やアフリカ人の傭兵(ようへい)も混じっていた。

ただ、米国防総省がクルスク州に派遣されたとしている北朝鮮兵1万2000人の姿は見ていないという。ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、共同通信との会見で、北朝鮮兵の一部はウクライナ軍によって殺害されており、最終的にはロシア政府によって「大砲の餌」として使われるだろうと語った。

オレクサンドル氏は、北朝鮮兵を捕まえたり、その遺体を見たりすれば、北朝鮮兵がクルスク州にいると確信が持てるようになると語った。

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