イスラエル首相、シリア最高峰での軍駐留を指示か 25年末までと情報筋
(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は自国の軍隊に対し、シリアの最高峰ヘルモン山の周辺地域に少なくとも2025年の終わりまで残るように指示した。事情に詳しい情報筋がCNNに対し、18日に明らかにした。
今月、反体制派が主導する連合によってシリアのアサド政権が崩壊したのを受け、イスラエルは戦略的に重要なヘルモン山を掌握した。ネタニヤフ氏をはじめとするイスラエルの当局者らは当初、進軍を一時的な治安対策と位置づけていた。
上記の情報筋によれば、ネタニヤフ氏の命令は現地の部隊を長く維持し、シリアの治安状況が安定するまでその態勢を続けることを意図したもの。またネタニヤフ氏は、シリアの新たな指導者が1974年の両国の合意を順守する方針なのかどうかが明確になるのも待っているという。
同年両国は、国境線に沿って緩衝地帯を設置することで合意。ヘルモン山の山頂はこの緩衝地帯の中に位置する。
イスラエル軍に奪取される前、山頂は非武装化されており、国連の平和維持活動による巡回対象となってきた。
シリアの新指導者ジャウラニ氏(本名はアフマド・シャラア氏)は、シリアでのイスラエルの行動を非難。複数のアラブ諸国も、シリアの不安定化に乗じて土地を乗っ取り、「シリア領内での占領地拡大」を図っていると、イスラエルを糾弾する。
それでもネタニヤフ氏は治安の観点から当該地域の制圧は必要との見方を強調。権力の空白にイスラム教の聖戦主義者のグループが入り込み、ゴラン高原のイスラエル人社会に脅威をもたらす事態は許さないと述べている。
ゴラン高原はヘルモン山と接するシリア南西部の戦略的高地。イスラエルが掌握し、その後1981年に併合した。
イスラエル政府は15日、ネタニヤフ氏が策定したゴラン高原の入植拡大計画を承認した。首相府が声明で明らかにした。承認の背景には現地の「人口を倍増する強い願い」があるという。