戦争開始から間もなく3年、680万人のウクライナ難民は依然先行き見通せず
一方で、ロンドンでは生活の基盤を築いている。住居を確保し、生涯学習センターで英語教師の仕事も見つけた。離婚した今、ウクライナに戻るつもりはなく、与えられた機会を生かすことに注力したいと考えている。6歳の娘のアリサちゃんがもっと明るい未来を生きられるように。
地域共同体が破壊され、経済も苦境に陥る中、ウクライナ政府は難民として国外へ逃れた人々に帰国を促したいと考えている。難民のほとんどは女性と子どもだ。政府は国家団結省を立ち上げ、国外にいる国民の帰国を奨励するプログラムやインセンティブの策定に取り組む。
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月の記者会見で、人々に帰国を強制することはできないとしつつ、国外からウクライナへ戻り、国防や納税を通じて自国を支援して欲しいと強く呼び掛けた。
戦争の長期化に伴い、ウクライナは人口の空洞化がもたらす経済的な影響について懸念を強めているようだ。頭脳が流出することで将来どのような結果が生じるのかも危惧される。
激しい戦闘が続く中、国外に順応する人々は毎月増え、国内では破壊が進む。従って帰国する人々の数は減り続けると、ウクライナ国立学士院で人口統計学と社会学の研究に携わるエラ・リバノワ教授は指摘する。
同教授はCNNの取材に答え、「事態が本当に悪化すれば、戒厳令が解除された後に新たな移住の波が起きるかもしれない。今度は男性らが妻や子どもの下へ向かうだろう」と述べた。戒厳令が敷かれる中、18~60歳のほとんどの男性はウクライナからの出国を禁じられている。国内では今年、軍事動員の規模が拡大された。