戦争開始から間もなく3年、680万人のウクライナ難民は依然先行き見通せず
一方で帰国を望むウクライナ人も多く存在する。ウクライナで起業したり、職業的な資格を取得したりするなど、国内に重要な生活の基盤を構築した人々がこれに該当する。
ウクライナ東部ハルキウ市出身のビクトリア・リブカさん(40)は、戦禍を逃れて幼い子ども2人と共にドイツへ渡った。しかし子どもの一人は学校での意思疎通に苦慮し、もう一人の娘はストレス性とみられる皮膚病を発症した。
ビクトリア・リブカさんは戦争開始から2カ月後に2人の娘とともにウクライナ東部ハルキウに戻った/courtesy Victoria Rybka
結局わずか2カ月後、リブカさんは帰国を決断する。念頭にあったのは警官の仕事への復帰と、家族との再会だった。
「夫を残しておくことはできない。ずっと一緒だったから」(リブカさん)
帰国した当時、ハルキウに残っていたのは大半が男性と高齢者で、リブカさんのような母親は同じ複合住宅に1人しかいなかった。この母親は、戦争の早い段階で避難先から戻ってきていた。
それでもその後、地下で学校が再開する中、住民は少しずつ戻りつつある。
リブカさんは「選択は人それぞれ」と認めた上で、「私は自分の選択をした。ここが私の家だから」と言い添えた。