シリア暫定政権、教育課程の改訂に批判の声 イスラム色を懸念
(CNN) シリアの暫定政権がこのほど発表した教育課程の改訂項目に対し、イスラム主義的な傾向を批判する声が上がっている。
改訂項目のリストは、教育省のフェイスブック公式ページで公開された。6~18歳のすべての児童、生徒に適用されるという。
「善への道」を「イスラムの道」と言い換え、イスラム教の聖典コーランの超保守的な解釈に沿って「地獄に落ちる者、道を踏み外した者」を「ユダヤ、キリスト教徒」と名指しし、「殉死者」を祖国でなく「神のために」身をささげた者と定義している。
「生命の起源と進化」などの章は完全に削除される。
インターネット上では、アサド前政権を否定する項目などが歓迎される一方、宗教的な改訂に批判が集中した。
アサド前大統領が率いていた世俗主義のバース党に対し、暫定政権を主導する「シャーム解放機構」(HTS)は国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織が前身。ただし指導者のアハマド・シャラア氏はアルカイダと距離を置き、寛容や包括性を重視する姿勢を打ち出してきた。
教育課程をめぐっては「なぜ暫定政権が改訂するのか」「憲法改正が先ではないか」との声も上がった。
教育省はこれに対して、「全国の学校の教育課程は専門委員会が設置され、審査するまで変わらない」と説明。「当省が指示したのは前政権を賛美する内容の削除と、国旗の変更だけ」「発表した項目は、前政権下でみられたコーランの誤った解釈などの修正だ」と主張している。