イスラエル、ガザ人道支援の制限を検討 トランプ氏の大統領就任後に
(CNN) イスラエルが、パレスチナ自治区ガザ地区への人道支援について、ドナルド・トランプ氏が今月下旬に米大統領に就任して以降、制限することを検討している。人道支援の制限はイスラム組織ハマスから人的・物的資源を奪うことが目的だという。事情に詳しいイスラエル当局者が明らかにした。
ハマスが2023年にイスラエルへの奇襲攻撃を行って以降、イスラエルはガザでハマスの解体を目指している。イスラエルはハマスが支援物資を入手することで統治能力を維持していると主張している。人道支援の制限は、すでに悲惨なガザの状況がさらに悪化する危険性がある。
イスラエル当局者は「人道支援が正しい人の手に届いていない」と述べた。人道支援の制限は現在検討されている複数の選択肢の中の一つだという。
支援機関はガザに搬入する支援物資の量を増やすよう一貫して呼び掛けているほか、数カ月前から民間人が飢饉(ききん)に見舞われる危険性を警告している。
国連人道問題調整事務所(OCHA)の12月31日の発表によれば、12月にガザに入った支援物資を運ぶトラックの数は商用車と燃料を除くとわずか2205台にとどまった。
イスラエル側はこうした数字に異議を唱えている。ガザへの支援物資の流入を管理する占領地政府活動調整官組織(COGAT)によれば、支援物資の搬入量には制限がなく、12月には5000台以上のトラックがガザに入った。
国連の当局者によれば、イスラエルとハマスとの衝突が始まる前、ガザに入るトラックの数は1日あたり約500台、1カ月で1万5000台だった。
OCHAによれば、210万人のガザの住民のうち推計91%が深刻な食料不安に直面している。