南シナ海上空で中国軍ヘリがフィリピン機に「危険な」接近 米大使が非難
ソウル(CNN) 中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁上空で18日、中国軍のヘリコプターがパトロール中のフィリピン機から3メートルの範囲内まで接近した。米国のカールソン駐フィリピン大使は、これを危険な行為と非難した。
フィリピン漁業水産資源局の小型機に同乗していたAP通信の記者が、中国軍ヘリの接近を目撃した。同通信によると、ヘリは約30分間にわたって近くを飛び、フィリピン機の操縦士が「非常に危険な飛行であり、こちらの搭乗者の命を危険にさらしている」と警告を発した。
カールソン氏はX(旧ツイッター)上で中国に「威圧的な行動を控え、国際法に基づく平和的な問題解決を」と呼び掛けた。
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中国側は同国のヘリがフィリピン機を「中国領空から」排除したと主張している/Joeal Calupitan/AP
これに対して中国軍の南部戦区司令部は、中国のヘリがフィリピン機を「中国領空から」排除したと説明。フィリピン側が「中国の主権を著しく侵害した」と主張した。
南シナ海上空では先週も、中国軍の戦闘機がオーストラリア軍機の近くに照明弾を投下したとされ、オーストラリア側が抗議していた。中国軍はこの時も、外国機による領空侵犯だと主張した。
中国は南シナ海の大半で主権を主張し、フィリピンのほかにマレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾とも領有を争ってきた。上空ではこれまでも同様の事案が発生し、ここ数年は米軍、カナダ軍機との接近なども起きている。
ただ今回は1週間足らずのうちに2件相次いだことで、中国が攻撃姿勢を強めているとの懸念が強まった。中国はトランプ米政権の目がウクライナや中東に向いたすきを狙い、南シナ海や台湾周辺で攻撃的行動の常態化を図っているとの見方もある。