プーチン氏、クルスク州のウクライナ兵に投降呼び掛け ゼレンスキー氏は米国に圧力要請
(CNN) ロシアのプーチン大統領は14日、ロシア西部クルスク州に展開するウクライナ兵に投降を呼び掛けた。米国の仲介によるウクライナとの停戦の可能性が浮上する中、外交的な駆け引きが続いている。
プーチン氏は国家安全保障会議のメンバーとの会合で、クルスク州のウクライナ兵が民間人に犯罪行為を働いていると非難。ただ、クルスク奪還を進めるロシア軍にウクライナ兵の命を救うよう求めたトランプ米大統領の意向を汲(く)み、投降した兵士の命は保証されると主張した。
また、米ロ関係は「米国の前政権によって破壊され、事実上ゼロに冷え込んだ」ものの、ロシアは関係修復に努めていると説明。「全体として状況は動き始めている。ここから何が生まれるか注視していく」と表明した。
プーチン氏を巡っては、ウクライナが領土交渉の唯一の材料であるクルスク州を失いつつある中、クルスク州を奪還するまで米ウの停戦案に関する協議を先延ばしにしている可能性があるとの見方が多い。ウクライナの当局者は今週、サウジアラビアで米国側と協議を行い、前線全域を対象とした30日間の停戦の提案を受け入れた。

ロシア・クルスク州の屋内でのウクライナ軍による破壊の痕/Vladimir Aleksandrov/Anadolu/Getty Images
プーチン氏の今回の発言は、首都モスクワで13日に米国のウィトコフ特使と会談した後に出たもの。
この会談について、ルビオ米国務長官は「慎重ながらも楽観できる理由」をもたらしたと評した。トランプ大統領も同日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルで同様の見方を示し、協議は「良い内容で生産的」だったと評価。「恐ろしく血なまぐさい戦争がついに終わる可能性は大いにある」と付け加えた。
トランプ氏はまた、クルスク州に展開するウクライナ兵の命を救うようプーチン氏に「強く要請した」ことも明らかにした。
国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)は2月、2024年8月末以降に投降したウクライナ兵数十人が「その場で射殺された」との報告に懸念を表明した。監視団のダニエル・ベル団長は「拘束されたウクライナ兵の処刑に関するあらゆる疑惑や、そうした行為を要求ないし容認する公的な発言について調査する必要がある」と述べていた。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、プーチン氏の動機に懐疑的な見方を表明。米国に対し、ロシアに戦争終結を促す圧力をかける「強い措置」を取るよう要請した。
ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)でウクライナは平和を望んでいるとも述べ、「戦争が始まった当初から、我々の望みはただ一つ。ロシアが我々の国民の平穏を保つこと、ロシアの占領者が我々の土地から出ていくことだ」と書き込んだ。