袴田巌さんに刑事補償2億1700万円、世界で最も長く死刑囚として服役
東京(CNN) 1966年に一家4人が殺害された事件で再審無罪となった袴田巌さん(89)に対して、静岡地裁は、約2億1700万円の刑事補償を支払う決定をした。
袴田さんは事件をめぐり、40年以上にわたって「死刑囚」として過ごしてきた。事件の証拠は警察が捏造(ねつぞう)したと繰り返し主張していた。
NHKによれば、DNA鑑定の結果、袴田さんを有罪とした血痕の付着した衣類は事件後になって捏造されたものとわかり、無罪となった。
弁護団事務局長の小川秀世弁護士によれば、今回の金額は刑事補償としては過去最高額。同弁護士は、国は2億円では償いきれない過ちを犯したとも語った。
袴田さんは61年にプロボクサーを引退後、静岡県でみそ製造の職に就いた。66年に上司の一家4人が自宅で殺害された事件をめぐり逮捕された。
袴田さんは当初、容疑を認めていたものの、その後、警察が殴打や脅迫によって自白を強要したと主張した。
68年に死刑判決が出され、袴田さんはその後、死刑執行を待つ身となる。
2014年に新たな証拠により釈放され、24年に無罪判決が言い渡された。
巌さんの姉の秀子さんは昨年、CNNの取材に答え、長年にわたる拘置所での生活により、巌さんは精神面で取り返しのつかないダメージを負ったと語っていた。