ロシア、19歳女性に流刑地で約3年の刑 著名な詩人引用し反戦活動
(CNN) ロシア・サンクトペテルブルクの裁判所は、19歳の女性の被告に対し、流刑地で3年近く服役する刑を言い渡した。女性はロシア軍の「信用を傷つける」行為を繰り返した罪に問われた。具体的には、ウクライナの詩人の像に本人の詩の一節を貼り付けるなどしたという。
裁判所は18日に声明を出し、ダリア・コジレワさんが流刑地で2年8カ月服役すると述べた。
コジレワさんは昨年2月24日に逮捕された。それに先駆け、ウクライナの詩人タラス・シェフチェンコの詩の一節をサンクトペテルブルクにある本人の像に貼り付けていたという。ロシアの人権擁護団体OVDインフォが明らかにした。
OVDインフォによれば当該の詩はシェフチェンコの作品「遺言」の一節で文言は以下の通り。
「わたしを葬り、立ちあがってほしい。鎖を断ち切り、凶悪な敵の血潮でわれらの自由に洗礼を授けてほしい」
コジレワさんは同年8月にも別の罪に問われた。この時はラジオ・フリー・ヨーロッパとのインタビューで、ロシアによるウクライナでの戦争を「醜悪」、「犯罪」と批判していた。
公判中コジレワさんは、ただ詩を朗読し、ウクライナ語で書かれた一節を貼り付けただけだと主張した。裁判所の報道サービスが述べた。
反戦活動家のコジレワさんは、高校生だった2022年12月にも法律に違反したとして拘束された。サンクトペテルブルクとウクライナの都市マリウポリにちなんだ設置物に、後者への爆撃を非難する文言を書き込んだという。OVDインフォが明らかにした。
コジレワさんは大学に進学したものの、ロシアで最も著名な人権団体の一つ、メモリアルによれば、国内のSNSで「今回の戦争の帝国主義的な性質」について論じたとして、退学処分を受けたという。
コジレワさんを政治犯と位置づけるメモリアルは、昨年の声明で一連の罪状を「不条理」と非難。罪に問う目的は反体制派を抑圧することだと糾弾した。
ロシアの独立系メディアが法廷内から報じたところによると、検察は当初6年の服役期間を要求していた。ロイター通信が公開した映像には、笑顔で支援者に手を振りながら法廷を去るコジレワさんの姿が映っている。
コジレワさんの弁護士はロイター通信の取材に答え、控訴する方針を伝えた。
OVDインフォの集計によると、ロシアで政治的理由から収監されている人々の数は現在1500人超。ウクライナとの戦争開始から24年12月までの間に、少なくとも2万70人が反戦の見解のために拘束された。「軍の信用を傷つけた」とする事案は9369件発生し、それにはSNSへの投稿内容やウクライナ国旗が付いた衣服を身に着けるといった行動が関連しているという。