WTO閣僚会議で部分合意が成立 貿易円滑化など
ロンドン(CNNMoney) インドネシア・バリ島で開催されていた世界貿易機関(WTO)の公式閣僚会議で7日、多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の「部分合意」が成立した。世界に1兆ドル(約102兆円)の経済効果をもたらす可能性がある。
部分合意は、通関業務の簡素化による貿易円滑化などを柱とする内容。1995年のWTO設立以来、最大規模の多国間合意とされる。
経済協力開発機構(OECD)の試算によると、この合意によって貿易コストが10~15%削減される。途上国にとっては年間4450億ドルの節約になることが期待されている。農業補助金で途上国に特例を認める措置も盛り込まれた。
01年に始まったドーハ・ラウンドは08年以降ほとんど前進がみられず、WTOの存在感の低下が懸念されていた。アゼベド事務局長は部分合意成立を受け、「WTOにWorld(世界)の文字がよみがえった」「ドーハ・ラウンドの合意達成に向けた重要な一歩だ」と述べた。
世界規模の交渉が難航するなか、地域や二国間の自由貿易協定(FTA)を重視する国も増えている。7日からはシンガポールで、環太平洋連携協定(TPP)の閣僚会議が始まった。