シェル、北極海の掘削作業を今年も実施せず
(CNN) 英蘭系メジャー(国際石油資本)のロイヤル・ダッチ・シェルは30日、米アラスカ沖の北極海での予備掘削を昨年に引き続き今年も行わないと発表した。
同社の掘削計画をめぐっては、環境への影響を懸念する環境保護団体や地元先住民が同社と米政府を相手取って掘削の差し止めを求める訴訟を提起。連邦控訴裁判所は先週、米規制当局が環境影響評価の際、原油生産量を「非現実的なほど低い量」に見積もっていたとの判断を下していた。
シェルの広報カーティス・スミス氏は「(計画の)前途に向けた明確な道筋が描けず、スケジュール上の問題もあって、2014年に安全に探査を行うために必要な準備がそろわなかった」と述べた。
一方、掘削延期の決定を受けて世界自然保護基金(WWF)で北極海の環境問題を担当するマーガレット・ウィリアムズ氏は声明を出し、「アラスカの社会や自然は少なくともあと1年、予備掘削による原油流出のさらなる危険にさらされずに済む」と評価した。
シェルは2012年夏にアラスカ沖での資源探査のための掘削を開始。だが掘削装置が流されるなどのトラブルに見舞われ、13年の掘削作業を見送っていた。