株主価値の最大化が「最も愚かな考え」である理由
逆に得をするのは、企業を渡り歩き、差し迫る災難を回避しながら自分の収入を増やしていく上級幹部らと、複数のリストラ案件から手数料をかすめ取ったり、株主価値を増大させるための計画を練ったりする専門家たちだ。
企業がこの死のスパイラルから抜け出すのは極めて難しい。また上級幹部らの対応策がさらに事態を悪化させる恐れもある。彼らは通常、市場の興味を引くような派手な計画に着手するが、それらの計画は長期的に価値を提供できずに終わる。
このような事態を回避する最も有効な手段の1つは、株主価値の増大に注力するという視野の狭い考えを捨てることだ。
充実した雇用の創出や、産業の構築、顧客満足の向上、株主への利益還元など、企業には複数の目標があるということをわれわれが認識することが重要だ。そして、これら複数の目標間のバランスを取ることこそ、上級幹部たちの役目なのだ。
企業が株主価値の増大という短絡的な考えを確実に捨て去るために、すぐにでも実行可能ないくつかの有効な手段がある。