旅客機の立ち乗り座席、5年以内に実現?
(CNN) 旅客機に垂直型の「立ち乗り」座席を導入すれば、大幅なコスト削減と航空運賃の値下げを実現できる――。マレーシアの専門家がそんな構想を国際航空業界誌に発表した。このアイデアは5年以内に実現するかもしれないとしている。
「立ち乗り客室」のコンセプトは、マレーシアのプトラ大学で航空工学を教えるファイルズ・ロムリ教授が発表した。バスや列車と競争できるレベルにまで航空運賃を引き下げるのが狙いだという。
ボーイング737―300型機を使って試算した結果、立ち乗り客室を導入すれば乗客の定員を21%増やし、航空運賃は最大で44%引き下げられると同氏は指摘。「私はよく飛行機を利用する。国内便の飛行時間はとても短い」「そこで、こんな短い飛行時間の間に座る必要があるのかという疑問が浮かんだ」と説明する。
立ち乗り座席のアイデアは、航空機メーカーのエアバスや中国の春秋航空、アイルランドのライアンエアも検討したことがあり、2010年の展示会では立ち乗り座席の「スカイライダー」が発表されている。
ライアンエアなどはその後、立ち乗り座席の計画を打ち切ったが、「このアイデアは十分に検討されないまま却下されているようだ。研究発表も見つからなかった」とロムリ氏は言う。
「航空運賃が下がれば、目的地までバスや列車で6~7時間座って行くよりも、飛行機に立ち乗りして1時間半で着く方を選ぶ人も多いはず」(同氏)
航空安全当局などの反対に遭ったとしても、立ち乗り座席のアイデアは5~6年以内に承認されるとロムリ氏は予想。「航空会社は運航コストを節減したがっているので、選択肢を示されれば大きな関心を示すだろう」と話している。