キリストの飲んだワインの味、イスラエルのワイナリーが再現に挑戦
イスラエルでは1880年代からワインの本格的な生産が始まったが、この当時はフランスから輸入したブドウが使われていた。現在では300あまりのワイナリーが約3600万本のワインを生産しており、地元産のブドウには新たな市場の開拓へ向けた期待がかかる。
イスラエル北部にあるラカナティ・ワイナリーでは、同地で古くから栽培されてきた固有種のマラウイというブドウを使ったワインを造り始めた。同ワイナリーが生産する年間100万本のワインのうち、マラウイ種のワインはわずか2500本。しかしこの古くて新しいワインはいずれ人気が出ると経営者は期待する。
ラカナティのワインのラベルには、英語とヘブライ語とアラビア語で、貢献者の名が記してある。「このブドウはアラビア原産でパレスチナ人が栽培している。だから全員に敬意を表して」。経営者はそう説明した。
クレミサン・ワイナリーは、キリストが誕生したベツレヘムと生涯を終えたエルサレムの間にある丘陵で、2008年から同地固有種のブドウのみを使ったワイン造りに乗り出した。
使っているブドウはダボウキ、ハムダニ、ジャンダリ、バラディなど、一般にはなじみのない種類ばかり。しかし競争が激しいワイン市場ではその独自性が強みになると営業担当者は予想、「何千年も前の人たちはこんなワインを飲んでいたんだと想像できる」と説明する。醸造家も「きっとイエスも私たちのワインを喜んでくれると思う」と胸を張った。