国民に最も大事なのはお金より国家、不況続くロシアの副首相
スイス・ダボス(CNNMoney) 欧米諸国の経済制裁やエネルギー価格の低落で不況に襲われるロシアのユーリー・トルトネフ副首相は30日までに、ロシア国民にとってお金は最も大事な問題ではなく、より重要なのは国家の存在と受け止めているとの考えを示した。
スイス・ダボスで先に開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席した際、CNNMoneyの取材に表明した。
同副首相はロシアが経済危機の渦中にあることは認めながらも、「ロシア国民は異なる価値観を持っている」と主張。お金よりも国家が大事との考えは、政府への支持率が高水準にあることを見ても分かると断定した。
ロシア経済は、ウクライナ危機などに絡む欧米諸国の経済制裁や主要な外貨獲得源である原油の価格低迷などで大きな打撃を受けている。同国経済は昨年、約4%のマイナス成長を記録。国際通貨基金(IMF)は今年は1%のマイナス成長を見込んでいる。通貨のルーブル安も進み、インフレ率を押し上げている。
昨年の物価上昇率は12.5%に達し、賃金も目減りし、国民の台所を直撃している。同国の公式統計によると、貧困層に位置付けられている国民は総人口の約14%に当たる2000万人超で14年の約1600万人からは激増している。
しかし、トルトネフ副首相はロシア国民は経済的な苦境を感じていないと主張。経済制裁も所期の狙いほどロシア国民に影響を与えていないとも強調した。