ドイツ、ディーゼル規制強化へ 都市での走行禁止認める
ロンドン(CNNMoney) ドイツの連邦行政裁判所は27日、国内の各都市に対し、ディーゼル車の走行を禁止する措置の導入を認める判断を下した。環境負荷の軽減を念頭に置いた動きで、同様の規制の実現を目指す欧州各国の取り組みにとって追い風となる可能性がある。
裁判所はシュツットガルトとデュッセルドルフの市当局について、一部の車両に対する市内乗り入れ禁止を実施する権限があるとした。一方でそうした措置に踏み切る際は、利用者が被る不利益とのバランスを考慮しなければならないとも定めた。
シュツットガルトには大手自動車メーカーのダイムラー傘下のブランド、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェが本拠地を置く。デュッセルドルフとその周辺にも自動車製造の拠点が集中している。両市の大気汚染レベルは欧州でも最悪の水準に達しているとされる。
大気汚染対策としてディーゼル車への規制強化を訴えてきたロビー団体DUHの幹部によれば、当該の都市は年内にもディーゼル車の走行禁止措置に踏み切る可能性がある。
シュツットガルトを含む州のヴィンフリート・ヘルマン交通相は、一部車両の規制を含め、自治体での環境計画を直ちに見直すと述べた。裁判所は同市に対し、ガソリン車であっても一定の排出基準を満たしていない場合は規制の対象とすることを検討すべきだと指摘している。
一方、デュッセルドルフのある州の環境相は、大気の質の向上に向けた戦略を吟味し、ディーゼル車の走行禁止措置は避ける意向を示した。
実際に走行禁止の措置が導入されれば、国内のディーゼル車の需要は落ち込み、自動車業界にとって打撃となる公算が大きい。ドイツ国内の自動車のおよそ3分の1はディーゼル車が占める。
VWは声明で、裁判所の判断について「規制の乱立につながりかねず、多くのドライバーを不安にさせる」「今回の決定が具体的にどのような形で実行に移されるのか、現時点で全く不透明なままだ」と強調した。