英政府、安保懸念で自国企業の買収規制を強化 中国意識か
ロンドン(CNNMoney) 英国政府は28日までに、国家安全保障対策の一環として外国資本による英国企業の買収審査を厳しくし、場合によっては阻止する方針を明らかにした。
買収の不認可をより容易に打ち出せる権限を政府に付与する内容。国会での審議に備え、新方針について経済界との協議を予定している。
新たな方針は特定の国を念頭に置いた措置とはしていないが、国内で論議を呼んでいる複数の事業分野での中国からの投資増大を踏まえた形ともなっている。中国企業による買収活動は慎重な扱いを要する技術獲得を狙っているとの見方もある。
英国の治安当局は最近、中国企業「華為技術(ファーウェイ)」の通信機器製品の導入による英国の国家安全保障上への新たな脅威を警告。2年前には英国の原子力発電所計画への中国企業の関与に不安が高まってもいた。
政府によるより厳しい監視対象は企業買収だけでなく、資産買い取りや知的所有権の分野にも適用される。政府の介入で新たな取引条件の付加や取引解消に至る可能性もある。
英政府当局者によると、新たな方針の下では、外国企業が絡む買収の審査への政府介入は毎年、現行の1件から約50件に増える可能性がある。50件の数は極めて高く、海外からの投資動向などに影響を与えるとの見方もある。
中国企業による英国企業の買収は昨年、36件で少なくとも210億米ドルに相当したとされる。今年は24件で少なくとも40億ドル規模となっている。
中国企業による国内企業の買収の不安は米国内でも高まっている。トランプ政権は中国と関係がある民間企業による米国の半導体部品企業の買収を妨げてもいた。