プラスチックごみから「エコれんが」、温暖化ガス排出も削減 インド学生が起業

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作られたれんがを運ぶ人たち=西ベンガル州/XAVIER GALIANA/AFP/AFP via Getty Images

作られたれんがを運ぶ人たち=西ベンガル州/XAVIER GALIANA/AFP/AFP via Getty Images

(CNN) インド人の工学部の学生アビシェク・バナジーさんは、2016年にインドの伝統的なれんが工場を訪れた際に目にした光景に衝撃を受けた。

バナジーさんは当時の様子について「作業員が極めて非人道的な扱いを受けている光景を目の当たりにした。作業環境も非常に不適切で、作業員は素手で粘土を掘っていた」と振り返った。

しかし、インドに14万カ所あるれんが工場は、環境にも悪影響を及ぼしている。工場から出るほこりや二酸化硫黄が、呼吸器系疾患を引き起こしたり、地元の農作物や野生生物にストレスを与えたりしている。また、ある調査によると、インドのれんが工場が1年間に燃やす石炭の量は1500万~2000万トンに上り、4000万トン以上もの温室効果ガスを大気中に放出しているという。

「レゴブロックのようなれんが」

バナジーさんは、インドのジャダヴプール大学の学生だった頃、創造性に富み、社会的に有益な、れんが工場に代わる物を模索した。

バナジーさんは2017年に数人のクラスメートとともに「Qube」を呼ばれる社会的企業を立ち上げた。Qubeは、「プラスティキューブ」と呼ばれるプラスチックごみから作ったれんがの代替品を製造している。

インドでは推計で1日あたり2万5000トンのプラスチックごみが捨てられているというう/HIMANSHU SHARMA/AFP/AFP/Getty Images
インドでは推計で1日あたり2万5000トンのプラスチックごみが捨てられているというう/HIMANSHU SHARMA/AFP/AFP/Getty Images

インドで1日に出るプラスチックごみの量は推定2万5000トン以上に上り、そのうち約4割は回収されていない。

バナジーさんのチームは、西ベンガル州のごみ回収業者と協力して、ペットボトルや使い捨ての袋などのごみを集めている。回収したごみは、手作業で洗い、細かく切り刻み、プレス加工してブロックにする。一般的な粘土れんがの価格は約10ルピー(約15円)だが、プラスティキューブの製造コストは5~6ルピー(約9円)だという。さらに、従来のれんがと違い、プラスティキューブはモルタルを一切使用しない。

バナジーさんは「(プラスティキューブは)基本的にレゴブロックに似ている。ブロックの上下部に連結するための溝があり、その溝がブロック同士を固定する」と述べた。

ごみとガス排出を同時に削減

プラスティキューブは、れんが作りの過程から窯(かま)とモルタルを除外することにより、エネルギー使用量を7割削減でき、従来のれんがに比べ、二酸化炭素排出量を大幅に抑えられるという。

プラスチックを材料にしたれんが/Courtesy of Qube
プラスチックを材料にしたれんが/Courtesy of Qube

プラスティキューブれんがには1個あたり1.6キロのプラスチックごみが使われている。まだ建材として使用されたことはないが、現在、耐火性や長期耐久性のテストが実施されている。バナジーさんはプラスティキューブの利点について、何世紀にもわたって環境から廃プラスチックを除去できる上に、耐久性の面でも、従来の粘土れんがより長持ちすると考えている。

バナジーさんは、この発明ですでに世界で高い評価を得ている。国連環境計画(UNEP)の2018年「ヤング・チャンピオン・オブ・ザ・アース」賞で地区予選を突破し、さらに社会起業家を育成・支援するユヌス・アンド・ユースグローバルフェローシップにも参加している。またQubeの創設メンバーたちは、米誌フォーブスのアジアの社会起業家「30歳未満の30人」に選ばれた。

バナジーさんは、若いエンジニアや起業家たちに大きな夢を持つよう勧めるが、同時に彼らの仕事が向こう数十年間に環境に与える影響について真剣に考えて欲しいと考えている。

アビシェク・バナジーさん/courtesy Abhishek Banerjee
アビシェク・バナジーさん/courtesy Abhishek Banerjee

バナジーさんは、「私が助言するとすれば、まず何か事業を始め、その事業が長期的に環境に優しい事業であることを目標にすること」とし、さらに「あらゆる視点を持ちながら、ビジネスプランを遂行する。決して金もうけのためだけにやってはいけない」と付け加えた。

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