世界経済は「大恐慌以来の低迷」、回復の道筋も不透明 IMF
ロンドン(CNN Business) 国際通貨基金(IMF)は14日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、世界経済が1930年代の大恐慌以来となる水準にまで低迷するとの見通しを示した。各国政府と保健当局者が連携し、更なる事態の悪化を阻止する必要があるとしている。
IMFによると、各国の政策立案者が世界レベルでの対策を講じられない場合、リセッション(景気後退)の状態が2021年まで継続するリスクがある。直近の予測に基づく今年の世界経済の実質成長率は3%のマイナスと、08年に世界を襲った金融危機以後をはるかにしのぐ落ち込みとなる見通し。
1月時点での予測では、3.3%の成長が見込まれていた。
IMFは、感染抑止のため各国で行われている大規模な封鎖措置が世界経済を劇的に縮小させると指摘。21年に入れば部分的に回復するともみているが感染拡大前の成長率には届かず、回復の強さ自体も現時点では非常に不透明だとしている。
そのうえで「成長率は予測をさらに下回る恐れがある。むしろその公算が大きいのではないか」と警鐘を鳴らした。
米国経済については今年5.9%の縮小に見舞われると予測する。これは1946年以来の落ち込みだが、マイナス7%のドイツ、マイナス6.5%の英国、マイナス6.2%のカナダなどと比べると減少率は小さい。
新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国の成長率は1.2%増と1976年以来最も低い伸びになると予想。経済規模で世界3位の日本は他国ほど厳格な行動制限を実施していないものの、今年の成長率は5.3%のマイナスとなる見通し。
欧州で特に甚大な被害が出ているスペインとイタリアは、それぞれ8%と9.1%のマイナスと予想されている。
IMFは感染封じ込めのための経済活動の縮小を通じ、数千万人が職を失い、数万社の企業が倒産するとの予測も示す。米国の今年の失業率は10.4%に上昇し、来年も9.1%を記録するとしている。
下半期に感染拡大が終息すれば2021年の世界経済成長率はプラス5.8%まで回復すると見込まれるものの、IMFによるとこの予測は不確実性が大きいのが実情だという。