コロナ禍でチーズ販売激減、食べてと業界懇願 仏
(CNN) フランスの酪農製品関連団体は新型コロナウイルスの感染拡大でチーズの販売高が60%急減したとして、国民に仏文化の一翼も担うチーズの消費増大をこのほど訴えた。
激減は感染拡散を受け全土封鎖が打ち出された3月17日から4月10日までの期間中に起きた。酪農製品の原産地名称問題などに取り組む全国協議会(CNAOL)の責任者はCNNの取材に、消費者は感染が始まってからチーズに見切りをつけたと分析。
食習慣などを変え、基本的な必需品のみに注意を向けるようになったとし、このあおりでチーズ業界は膨大な損失に直面していると嘆いた。新型肺炎が終息すれば製造者側が5000トンもの過剰在庫を抱え込む事態も有り得ると懸念した。
その上で「我々は閉じこもってもいないし、仕事を止めてもおらず、毎日働いている」とし、「チーズを食べて欲しい。母国の文化、伝統や遺産を維持するために」などと呼びかけた。
CNAOLは報道発表文で、チーズの8割の適切な販売期間は8週間を超えず、一部は1カ月以下と指摘。その上で保証された品質を持つチーズの2000トンもの在庫超過はたちまち起きうるとし、大規模な廃棄処分が起きるリスクや業界存続の成否の問題も突き付けられるとした。
さらにチーズ生産が唯一の経済活動となっている地方部にも重大な影響を及ぼしかねないと説いた。
フランス政府が打ち出した全土封鎖で日常生活に不可欠でない店舗は閉鎖となった。この措置は7月24日まで維持される見通し。一方で、学校再開などの措置も講じられ、5月末にはバー、カフェやレストランの営業開始に関する決定が下される予定ともなっている。