米航空業界、連邦政府支援も大量解雇は不可避か
ニューヨーク(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染拡大によって米国の失業率が過去最悪の水準となっているが、今のところ航空業界の雇用は大きな打撃を受けていない。しかし、操縦士や客室乗務員、荷物係、整備士など約75万人もじきに失職の危険にさらされる可能性があるとの見方が出ている。
連邦政府による支援策を受け入れた航空会社は、従業員のレイオフ(一時帰休)や賃金引下げなどが禁じられている。しかし、企業幹部はこの規制が緩和される10月1日以降に雇用の削減が実施される可能性について言及している。試算によれば、航空業界の最大3分の1の雇用が失われる可能性があるという。
航空各社はすでに従業員に対して自発的な無給もしくは支払いの少ない休暇を取るよう要請している。アメリカンやデルタなど大手4社で約10万人がこうした要請を受けている。これは2019年末時点の4社の従業員数の約26%に相当する。
航空各社は毎日、数百万ドル単位の損失を被っており、2020年1~3月期の航空業界の損失は20億ドルを超えた。4~6月期はさらに損失は拡大するとみられている。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のアナリストによれば、連邦政府の支援が人件費の約3分の2しかカバーしていないことが大きな要因だという。同アナリストによれば、早期退職制度などによって航空業界の雇用の20~30%が失われる可能性があるという。
サウスウエスト航空のケリー最高経営責任者(CEO)はCNNの取材に対し、「雇用を守るためにできるあらゆることをする」としながらも、連邦政府からの支援が人件費の全てをカバーしているわけではないとも語った。
航空機による旅行が以前の水準に回復するには数年がかかるとみられており、景気が回復したとしても、高額の支払いが求められる職種については恒久的な削減は避けられそうにない。