EU、中国の域内企業買収に対抗 新たな規制案作成
ロンドン(CNN Business) 欧州連合(EU)は20日までに、外国政府が補助金を付与する企業によるEUの産業を先導する企業の買収や公共事業の契約を防ぐ新たな規制案を作成していることを明らかにした。
米国を含む全ての外国企業を対象としたが主眼は中国企業との見方がある。今年9月23日まで一般的な意見を募り来年の発効を想定している。
EUの行政執行機関、欧州委員会は規制案に触れ、統一市場での不公平な競争を阻止し、EUの戦略的な自主権を維持する新たな権限が必要との認識を表明した。
欧州委は加盟国に域内での競合企業を弱めるため外国政府の補助金を得ている可能性がある企業の精査を要請。これら企業によるEU企業の買収も検討対象に含めた。
仮に買収に動いた外国企業が補助金で不公正な利益を受けていることが判明すれば、補助金の返済もしくは欧州当局を納得させるための資産売却を求める可能性もある。買収自体を阻止する可能性もあるとした。
また、域内の公共事業については政府補助金に支えられた外国企業の受注を阻み、市場価格より低い水準での入札参加も認めないとした。
欧州委のフィル・ホーガン委員(通商担当)は、EUの経済は世界で最も開放的だが、その特質が外国の貿易慣行により試練に直面していると指摘。補助金は域内の企業競争を損ねていると主張した。
中国政府が掲げる巨大経済圏「一帯一路」構想で欧州内のインフラ整備事業への食い込みを図る中国国営企業への警戒心も高まっている。特に新型コロナウイルスが欧州内で猛威を振るい、保健衛生関連、医療品の供給や薬剤分野で外国企業の買収に対する新たな危惧も生じている。