米6月消費者物価5.4%上昇、13年ぶり高水準 ガソリンや中古車が高騰
こうした傾向が特に顕著なのが旅行関連分野だ。航空運賃は前年同月比24.6%上昇、ホテル・モーテルは同15.1%上昇した。それでも、いずれもパンデミック以前の2019年6月の価格には戻っていない。
米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ市場では、インフレ圧力は一時的で今年後半には鈍化するとの見方が多い。予想に反してインフレが長期化した場合には、FRBが金融引き締めに向け利上げに踏み切る可能性もある。だがFRBは最近、2023年まで現在のゼロ金利政策を維持するとの見通しを示している。
米金融大手PNCファイナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「ここ数カ月のCPIは目を見張るものがあるが、基調的インフレ率は依然として抑えられている」との認識を示す。価格が急上昇しているのは中古車やレンタカー、航空運賃、ホテルなど限られた分野であり、また前年の低い価格水準との比較でインフレが誇張されている状況もあると指摘。「どちらの要因も近いうちにデータから消え去るだろう」と語る。
一方、米メリーマウント大学のサン・ウォン・ソン教授は「インフレは一過性のものではなくなってきているように見える」と指摘。CPI上振れの要因は、供給のボトルネック、需要の急増、ベース効果などで部分的に説明できるものの、すべてが数カ月のうちに元に戻るとは考えにくいと語る。例として労働力不足による賃金上昇を挙げ、今後物価上昇に反映されていくことは「間違いない」との見方を示している。