英国でのたばこ販売、2030年までに禁止を フィリップ・モリスが求める
ロンドン(CNN Business) たばこ大手のフィリップ・モリス・インターナショナルは27日までに、展開する「マールボロ」ブランドのたばこについて、英国での販売を10年以内にやめる方針を明らかにした。同社は英国政府に対してもたばこ製品の販売を禁止するよう呼び掛けた。
英国では2016年以降、たばこに対して統一規格のパッケージデザインを導入。国内の喫煙者数は減少し、政府も喫煙の蔓延(まんえん)抑止に向けた措置を拡充している。
フィリップ・モリス・インターナショナルのヤチェック・オルザック最高経営責任者(CEO)は英紙サンデー・テレグラフに対し、英国政府はたばこをガソリン車と同様、30年から販売禁止にするべきだと述べた。
また社として26日に出した声明の中で、世界からたばこがなくなる可能性にも言及。戦略及び科学コミュニケーション担当副社長のモイラ・ギルクリスト氏は「適切な措置を講じれば、(フィリップ・モリスは)英国でのたばこ販売を10年以内にやめられる」と付け加えた。
世界保健機関(WHO)によると、受動喫煙を含めた喫煙による死者は年間800万人を超える。これに対し、新型コロナウイルス感染症で死亡した人の数はこれまで約410万人。
フィリップ・モリス・インターナショナルは80億ドルの投資や数十人の科学者の登用を通じて健康リスクの低いたばこの代替品の開発に取り組んできた。これには火を使わない加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の製品などが含まれる。
たばこに反対する活動家らからは今回のフィリップ・モリス・インターナショナルの方針に懐疑的な見方も出ている。
英国政府は19年、イングランド全域を30年までに禁煙にする目標を掲げた。昨年にはそのための行程表を発表し、たばこメーカーに対して喫煙者の禁煙支援に向けた支出を義務付ける提案も明記していた。