世界の景気後退リスクは98%超 米調査会社
ニューヨーク(CNN Business) 世界経済はインフレや利上げ、ロシアのウクライナ侵攻などにより、98.1%の確率でリセッション(景気後退)に陥るとの見通しが、米調査会社ネッド・デービス・リサーチ(NDR)の予測モデルで明らかになった。
近年で景気後退リスクがここまで増大した例は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年と、08~09年の金融危機のみ。NDRの報告書はこの予測モデルについて、「23年のどこかの時点で厳しい世界的リセッションが起こるリスクが高まっていることを示している」と指摘した。
世界経済フォーラム(WEF)が28日に出した報告書でも、世界的リセッションの可能性が「やや高い」「高い」と答えたエコノミストが全体の7割を占めている。経済成長率の見通しは下方修正され、インフレ調整後の賃金は来年にかけて低下が続くと予想される。
WEFが調査したエコノミストのうち79%は、生活費の高騰が低所得国で社会不安につながることを懸念していた。高所得国についても、20%が同様の懸念を示した。
米株式市場で26日、ダウ平均株価が2年半ぶりに弱気相場に入ったことを受け、投資家の間にも懸念が広がっている。
米著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏は28日、23年中のハードランディング(急激な景気失速)を想定していると語り、同年にリセッションがなければそれは「驚きだ」とも述べた。
ただし米経済については、雇用市場が好調で失業率は低く、消費や企業収益も堅調なこと、40年ぶりとされるインフレも数カ月中に収まるとの観測があることから、NDRもリセッション入りのリスクは低いとみている。