独首相と大手企業CEOが北京訪問、かつてないほど中国を必要とするドイツの実情
ロシアによる今年のウクライナ侵攻以降、ドイツは長年にわたるロシアへのエネルギー依存を断ち切る必要に迫られている。ただ現在、連立政権の一部にはドイツが中国との関係を深めることについて一段と神経をとがらせる向きもある。
最近、中国国営の大手造船会社、中国遠洋運輸集団がハンブルク港のターミナルの一つを運営する会社の株式を35%取得しようとした際には激しい論争が巻き起こった。結局政権の一部メンバーからの圧力を受ける形で、出資比率は24.9%に抑えられた。
ドイツ側の懸念は、中国との関係が一段と近づけば極めて重要なインフラが中国政府からの政治的圧力にさらされ、中国企業に不均衡な恩恵をもたらすだろうというものだ。
それでも景気低迷からの復活という課題に苦慮するドイツが、中国と事を構える立場に身を置くことはまずない。キール世界経済研究所の推計によれば、欧州連合(EU)と中国の貿易が大きく縮小すれば、ドイツの国内総生産(GDP)は1%低下するという。
ワルシャワ大学で政治学と国際関係学を専攻するラファル・ウラトフスキー助教は中国について、ドイツにとって失いたくない市場であり経済的パートナーと指摘。両国はこうした関係を可能な限り長く維持しようとするとの見解を示した。
中国における人権問題の観点からも、ドイツ政府には圧力がかかっている。70の人権団体からなる組織は2日、公開書簡でショルツ氏に対し、北京行きの「再考」を求めた。