フィリピンでタマネギ急騰 鶏肉の3倍の値段、密輸も横行

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フィリピンのタルラック市の市場=2022年2月23日/Veejay Villafranca/Bloomberg/Getty Images

フィリピンのタルラック市の市場=2022年2月23日/Veejay Villafranca/Bloomberg/Getty Images

香港(CNN) タマネギといえば、フィリピンではほぼどんな料理にも欠かせない材料だ。ところがこの野菜の値段が今、鶏肉のほぼ3倍にまで急騰している。

フィリピン農務省によると、赤タマネギや白タマネギの値段は9日現在で1キロ当たり600ペソ(約1400円)。これに対して鶏肉は1キロ当たり220ペソにとどまる。

牛胸肉でさえも、重量当たりの価格はタマネギより30%安い。タマネギの1キロ当たりの価格は、1日の最低賃金を超える水準にまで上昇している。

フィリピン下院のエコノミスト、ジョーイ・サルセーダ氏は8日、「国産タマネギの価格は世界一高い」と嘆いた。SNSには急激な値上がりに対する不満の声が殺到している。

同国は昨年、大型台風に相次いで襲われ、作物に多額の被害が出た。フィリピン統計局によると、ここ数カ月の急激なインフレで12月の消費者物価は8.1%跳ね上がり、14年ぶりの高さとなった。

値段の急騰に伴い密輸も相次いでいる。国営フィリピン通信によると、税関は昨年12月23日に行った摘発で、衣類の輸送品の中に隠されていた白タマネギ31万ドル(約4100万円)相当を押収した。その2日前には、中国から密輸された36万4000ドル相当の赤タマネギが、パン製品のコンテナの中に隠されているのが見つかり、やはり税関に押収された。

シャーウィン・ガチャリアン上院議員は、密輸対策の作業部会設置を呼びかけている。

農務省のレックス・エストペレス次官補は10日、CNNの取材に対し、政府は密輸を摘発しようと努めているが、問題が続いていると説明した。

農相を兼務するフェルディナンド・マルコス大統領は、「供給問題を軽減」するため、密輸されたタマネギを販売する方法を模索したいと語った。

マルコス大統領は今週、タマネギ2万1060トンの輸入を承認しており、今月27日までには届く見通し。

「インフレの一因はタマネギの値上がりにある。そのためタマネギの輸入を勧告することにした」とエストペレス氏は述べ、フィリピン国民は毎月およそ2万トンのタマネギを消費すると言い添えた。

ただし輸入は「一時的な対策」であり、2月には収穫のピークを迎えて値下がりが予想されることから、それ以上買い入れる予定はないとエストペレス氏は話している。

ING銀行の上級エコノミスト、ニコラス・マパ氏は、値段は既に急騰しており、タマネギの輸入はやや遅すぎたと指摘。「当面は、輸入または国内での収穫を通じた供給増によって価格圧力が緩和されることを望むしかない。1~3月期は収穫期を迎えるので、状況を落ち着かせる助けにはなるだろう」と述べ、台風の季節の廃棄量を減らすため、貯蔵設備を改善する必要があると言い添えた。

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