マンモスDNAのミートボール、オーストラリア新興企業が培養肉製造
研究チームが最終的に製造できたマンモス肉は約400グラム。「ゲノムの観点から見ると、マンモスの遺伝子は1つしかなく、ほかは全て羊の遺伝子だ」。同プロジェクトにかかわったクイーンズランド大学のアーンスト・ウォルブタング教授はそう話し、「遺伝子2万5000個のうちの1個」だと説明した。
ライアル氏によると、マンモスのミオグロビンは、羊の筋肉細胞の物理的な外観を変化させた。石器時代の人類はマンモス狩りをして食用にしていたと推定されるが、ライアル氏もウォルブタング氏もこのミートボールは試食していないという。
「普段、自分たちの製品は試食していろいろ試している。しかし5000年間存在していなかったたんぱく質については、すぐに試食することを躊躇(ちゅうちょ)した。このたんぱく質が潜在的にどんなアレルギーを引き起こすか全く分からない」
ライアル氏はそう語り、「製品化しない1つの理由はそこにある。この製品の安全性が分からないので、販売する予定はない」と言い添えた。
培養肉は食用に動物を殺す必要性を薄れさせ、気候変動対策の一助にもなると推進派は指摘する。世界の温室効果ガスの約3分の1は食料生産に起因しており、その大部分を畜産が占める。
ヴォウが製造したウズラの培養肉は、間もなくシンガポールで販売が認められる見通し。シンガポールは世界で初めて培養肉を承認している。米国では連邦食品医薬品局(FDA)が人工培養鶏肉の人による消費を承認した。
ストックホルム大学のローブ・ダレン教授は2012年、シベリアへフィールドトリップに出かけた際に、マンモスの赤ちゃんの死骸から採取した凍結肉の小片を試食したことがあるという。
マンモスミートボールは「ぜひ食べてみたい」とダレン氏は意欲的だ。「本物のマンモス肉よりまずいことなどあり得ない」