「気候変動の時限爆弾」、惨状回避の時間切れ迫る 国連報告書が警鐘
(CNN) 世界は壊滅的な規模の温暖化に刻々と近づきつつあり、直ちに抜本的な行動に出なければ、国際社会が目指す温暖化対策目標は手の届かないものになる――。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が20日に公表した報告書で強い危機感を示した。
「気候時限爆弾が刻々と時を刻んでいる」。国連のアントニオ・グテーレス事務総長はそうコメントしている。「人類は薄い氷の上にいる。そしてその氷は急速に解けつつある」
同報告書は専門家数百人の見解をもとに、気候危機の進展について包括的に評価した。
地球温暖化汚染の影響は既に予想以上に深刻化し、人類はますます危険かつ取り返しのつかない結末へと向かいつつあると報告書は指摘。産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるという目標は今も達成可能だが、昨年の温室効果ガス排出量が1%近く上昇する中で、目標達成に向けた道は急速に狭まりつつあるとした。
大気中の炭素汚染濃度はこの200万年あまりで最も高い水準にあり、過去50年の気温上昇ペースはこの2000年で最も高い。
気候危機は、その原因を作り出すことが最も少ない貧困国や脆弱(ぜいじゃく)国に、最も過酷な影響を及ぼしている。
気候を脅かす最大の要因は、世界が化石燃料の燃焼に依存し続けていることにある。化石燃料は今も世界のエネルギーの80%以上を占め、人間が発生させる地球温暖化汚染の75%を占める。
気候危機の最悪の影響を食い止めるためには、経済と社会のあらゆる分野で抜本的な転換が求められると報告書は述べ、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーへの投資によって、地球温暖化汚染を大幅に削減するよう促した。気温上昇を1.5度に抑えるためには、2035年までに世界の地球温暖化汚染レベルを19年比で60%減少させる必要があるとしている。