家族から給料もらう「専業子ども」、中国の若年層で増加 雇用市場の厳しさ反映
問題は若年層の失業にとどまらない。鈍い国内消費や不動産市場の苦境など、コロナ禍からの景気回復が思うように進まない中にあって、中国指導部は大きな悩みの種をいくつも抱える。
しかも事態は、公式データが示唆するよりもっと深刻かもしれない。
北京大学のチャン・ダンダン准教授は先週、金融メディア「財新」への寄稿で、仮に実家で「寝そべる」もしくは親に依存する1600万人の若者を積極的に求職していない層として加えるなら、本当の若年層の失業率は3月時点で最大46.5%になっていた可能性があると指摘した。
「豆弁」では現在、「専業子どもの仕事に関するコミュニケーションセンター」と呼ばれるグループに約4000人が参加。日々の「仕事」に関連した話題を議論している。
別の若者向けプラットフォームでも、「専業息子、専業娘」というハッシュタグには4万件を超える投稿が寄せられている。
これらのユーザーの大部分は20代が占める。1980年代に生まれた現在の30代にも家族から財政的な援助を受けながら生活する層はいるが、彼らが通常実家でほとんど何もしないのに対し、20代の「プロフェッショナルな」子どもたちは親と時間を過ごし、財政的な援助と引き替えに家事をこなす。
前出のリーさんは「見方を変えれば、私たちは仕事を持っている若者たちと何の違いもない」と指摘する。家族は激しい出世競争から身を引いたリーさんの判断を支持しているという。
こうした傾向の背景として、新型コロナ禍での厳格な規制措置の下で自らの人生の目標などについて根本的に再考する若者が増えたことを挙げる社会学者もいる。