エルメス5代目、庭師を養子にして財産相続させる計画か
ロンドン(CNN) フランスの高級ブランド、エルメスの創業者一族のニコラ・ピュエシュ氏(80)が自身の庭師を養子にする手続きを開始したと報じられている。資産約120億ユーロ(約1兆8800億円)のうち少なくとも半分を相続させる計画だという。
ピュエシュ氏はエルメス創業者の5代目の子孫。自身が創設したイソクラテス財団に遺産を贈与する契約を破棄し、庭師を法定相続人にしたいとの意向を示している。
スイス紙トリビューン・ド・ジュネーブなどが今月、この件について報じた。
イソクラテス財団はピュエシュ氏の計画に異議を唱え、これについては最近知ったばかりだと説明。CNNに寄せた声明で「法的観点からは、遺産贈与契約の一方的な取り消しは無効であり根拠がない」「従って、当財団は契約取り消しに反対するが、創設者との協議の余地は残す」と表明した。
イソクラテス財団は2011年にピュエシュ氏によって設立された。公式ウェブサイトによると、「健全なデジタル公共空間」の実現に取り組む公益ジャーナリズムや市民団体を支援しているという。
知られている限り、ピュエシュ氏に子どもはない。報道によれば、イソクラテス財団とピュエシュ氏の契約は、同氏が保有するエルメスの株式を財団に遺産として贈与するとの内容。
ピュエシュ氏はエルメス株の5.7%を保有しているとされる。新型コロナウイルス禍収束後の高級品ブームを追い風に、エルメスの時価総額は2110億ユーロ近くに上昇しており、ピュエシュ氏の保有株の価値はおよそ120億ユーロに上る。
先月公表された米ブルームバーグ通信の年間ランキングによると、エルメス創業者一族は世界で3番目に裕福な家族。