インドの超豪華結婚式、中流階級の拡大で今後増加へ
不動産コンサルタント会社ナイトフランクは、3000万ドル以上の純資産を保有するインド人の数は28年までの5年間に50%増加すると見ている。これは世界最大の増加幅だ。また、30年までに約6億人のインド人が中産階級になると予想されており、この層が国の消費力の8割以上を占めることになる。
ウェディングプランニング会社シャーディー・スクワッドの共同創業者ティナ・タルワニ氏は、「中流階級が拡大すれば、彼らの可処分所得も増える。その増加分は必然的に豪華なパーティーやお祝いに費やされる」と指摘する。
リアーナ・クチュール・エメラルド
ジェフェリーズによると、インドの標準的な豪華結婚式の費用は20万~40万ドルだという。
このくらいの予算があれば、世界中の五つ星ホテルでの宿泊や、豪華なケータリング、装飾、エンターテインメントで招待客をもてなすことができ、さらにボリウッドの俳優や海外の人気歌手を招くことも可能だ。
しかし、このジェフェリーズの推定額には、宝石や衣装の費用が含まれていない。ジェフェリーズによると、インドの宝石市場では、結婚式関連の支出が半分以上を占めているという。
インドは世界最大の金市場の一つだが、ダイヤモンドなど、宝石への需要も伸びている。3月に開催されたアンバニ家主催の祝賀イベントで、新郎の母ニータ・アンバニさんが身に付けていたエメラルドのネックレスの大きさと輝きにネットユーザーたちは度肝を抜かれた。
モディ首相はキャンペーンを立ち上げ、裕福な家族にインド国内で結婚式を挙げるよう促している/Rafiq Maqbool/AP
またインドの豪華な結婚式に欠かせないのがぜいたくな料理だ。豪華な料理を提供するために、ミシュランの星を獲得したシェフを招待したり、世界中から最高級の食材を取り寄せたりすることもある。
またウェディングプランナーのタルワニ氏は、アルバニ家スタイルの世間の注目を集める結婚式には「トリクルダウン効果」があるため、今後さまざまなビジネスの成長も見込まれると語る。
ギフトショップのオーナーで、3月のアルバニ家のパーティーで約8000個のギフトの包装・配送を手掛けたバネッサ・アルメイダ氏によると、インド国内で同様のパーティーギフトの人気が高まっているという。
また結婚式専門のビデオグラファー(動画撮影者)への需要もここ10年間で急増しており、動画1本あたり1万ドルの料金がかかる。
豪華な結婚式は、その開催地でも収益や雇用を生み出す。インド政府は、豪華な結婚式がもたらす収益の増加を目指しており、モディ首相は「Wed in India(インドで結婚式を挙げよう)」キャンペーンを立ち上げ、裕福な家族にインド国内で結婚式を挙げるよう促している。