インドの超豪華結婚式、中流階級の拡大で今後増加へ
ニューデリー(CNN) インドの大富豪ムケシュ・アンバニ氏の息子アナント・アンバニ氏が7月に恋人のラディカ・マーチャントさんと結婚式を挙げた。インドでは豪華な結婚式は決して珍しくないが、このカップルの結婚に向けた準備やパーティーのあまりの豪華さに、インド国民の目がくぎ付けになった。
招待客のリストには、シリコンバレーの億万長者やボリウッドのスターたちが名を連ねており、世界経済におけるムケシュ・アンバニ氏の影響力が増していることを示している。またアジアで最も裕福な一家らしく、マハラジャ(大王)やムガル帝国の皇帝たちがいた時代を想起させる数々の宝石を展示することにより、一族の富を誇示している。
アンバニ家がムンバイで開催した別の婚前イベントではカナダ出身の人気歌手ジャスティン・ビーバーがパフォーマンスを行った。
アンバニ家は、大規模かつ豪華なインドの結婚式の新たな基準を打ち立てた。世界で最も急成長を遂げている主要経済国インドで超富裕層の数が増えるにつれ、インドの結婚式はこれまで以上に大規模かつ派手になっていくだろう。
インドが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から立ち直って以来、同国の結婚業界は活況に沸いている。米投資銀行ジェフェリーズが発表したリポートによると、インドの結婚業界の市場規模は、米国の同業界の約2倍の推定約1300億ドル(約18兆円)だが、中国の結婚業界と比べるとまだ小規模だという。
ジェフェリーズは「(インドは)物の価値を重視する社会だが、インド人は、結婚式には出費を惜しまない」とし、さらに「これは経済的階級に関係なく見られる傾向だ」と付け加えた。
インドの平均的な結婚式の費用は約1万5000ドルで、これはインドの平均年間世帯所得の3倍以上に相当する。
単なる地位の象徴にあらず
結婚式はどこの国でも高価になりがちだが、インドでは権力と地位の象徴として特に重要視されている。
イベントプランナーのアディティア・モトワーネ氏は、「インドの結婚式は、人脈の力、人間関係の力、そして富の力を誇示するためのイベントだ」と語る。
「メヘンディ」や宝石で飾られた花嫁の手/Nasir Kachroo/NurPhoto/Getty Images
結婚式プランニング大手ザ・ノット・ワールドワイドによると、インドの結婚式は数日間にわたって行われることが多く、招待客数の平均は326人と、米国の115人を大幅に上回っている。
3月にインド西部ジャムナガルで3日間にわたって開催されたアンバニ家の婚前パーティーには、マーク・ザッカーバーグ氏やビル・ゲイツ氏など、約1200人の著名人が出席した。
極めて裕福な人々が祝賀行事に大金を費やすのは決して珍しくない。
アンバニ家の婚前パーティーでは、5500機のドローンを使った華麗なライトショーが、このイベントのために特注で建設されたガラスの宮殿の上空を照らし、その宮殿ではゲストたちが、米人気歌手リアーナさんのパフォーマンスに合わせて踊った。
インドは2027年までに世界第3位の経済大国となる見込みで、超豪華な結婚式は、今後さらに頻繁に行われると見られている。