米株式市場を揺さぶった「偽ニュース」、Xに流れた噂が報道で増幅

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7日の金融情報を映し出すニューヨーク証券取引所の電子ディスプレー/Seth Wenig/AP

7日の金融情報を映し出すニューヨーク証券取引所の電子ディスプレー/Seth Wenig/AP

ニューヨーク(CNN) 7日の米株式市場は、Xに投稿された偽ニュースをきっかけとして激しく乱高下した。SNSの影響力がいかに大きく、いかに信頼できないかを見せつける出来事だった。

トランプ政権の新たな関税をめぐって投資家が好転のきっかけを探る中、7日朝に流れた出所不明の「関税の90日間停止」という「速報」が市場を突き動かした。ただしこれはフェイクニュースだった。ネットでこのうわさが拡散し始めると、ホワイトハウスは即座に否定した。

発端はFOXニュースのインタビューだったと思われる。国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は午前8時半(米東部時間)ごろ、トランプ大統領が「関税の90日間停止を検討する」かどうかという質問に対し、「大統領が決めることは大統領が決める」と答えた。

CNNの分析によると、ハセット氏の発言としてトランプ大統領が90日間の関税停止を検討すると伝える投稿がXに最初に掲載されたのは午前10時11分。投稿したのは「Hammer Capital(yourfavorito)」のアカウントで、フォロワーは1000人程度だった。

同10時12分ごろ、ニューヨーク証券取引所にいたCNN記者は、歓声が聞こえたと伝えた。取引開始直後の安値から回復しかけていた株価指数が、突然急騰していた。

フォロワー数の多い「Walter Bloomberg(Deltaone)」のアカウントは、最初のうわさの投稿をサイレンの絵文字付きでコピペして同10時13分に投稿。

CNBCは同10時15分までに、「ハセット氏は、トランプ大統領が中国を除く全ての国について、90日間の関税停止を検討すると言っているようです」と伝え、すぐに別のアナウンサーが「この情報については正確な出所を探っているところです」と付け加えた。CNBCは1分もたたないうちに、以下の「ヘッドライン」を画面に映し出した。

「ハセット:トランプ大統領は中国を除く全ての国の関税を90日間停止することを検討中」。CNBCのこの字幕は、まるで確認済みのニュースのように見えた。

同10時19分までに、ロイター通信がCNBCを引用してこの内容を伝えた。

しかしホワイトハウスはこの情報を真っ向から否定した。CNBCはすぐにホワイトハウスの否定を伝え、ロイターも記事を更新。午後0時28分にロイターは当初の速報を撤回し、誤りがあったとして遺憾を表明した。

今回は不正確な情報が出所を問うことなく、信頼されている金融ニュースの報道機関によって増幅された。正確で信頼できる報道の価値をめぐり、非常に高くついた教訓だった。

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