「トランプ関税」は交渉の対象?、政権内でも意見はバラバラ
(CNN) 米国のトランプ大統領が先ごろ発表した関税政策をめぐり、政権内からは矛盾したメッセージが発信されている。今回の取り組みは経済の仕切り直しに必要なものと位置づけられ、市場の激しい変動と不確実性は軽視されている。
トランプ氏は以前から自身について「ディール(取引)」の達人を自認しており、各国との関税をめぐる取引の可能性を残している。しかし、経済に対処する政権幹部が6日に発したメッセージによって、関税の緩和に向けた可能性は、より不透明なものとなった。
トランプ氏は先週、全ての国に対して一律に10%の関税を課す措置を発表した。60の国・地域の「最悪の違反者」にはさらに関税を上乗せするとしている。関税の一部は5日に発動し、相互関税については9日に発効する予定となっている。
当局者は6日、関税についての発表後、これまでに関税引き下げの協議に向けて50カ国以上から接触があったと明らかにした。
ラトニック商務長官はCBSニュースの番組で、各国は米国をだましていたことを自覚しており、それを終わらせる日が来たと語った。
トランプ氏はこれまで、交渉の余地を残すために関税の発効を一時停止してきたが、ラトニック氏は、9日に発効予定の関税を徹底する考えを明らかにした。
一方、トランプ氏は6日夜、週末にIT企業の幹部や世界各国の指導者から関税に関する電話を受けたと述べた。
トランプ氏は、各国が米国の貿易赤字に対処するなら、交渉に応じる意向を示した。「私は中国や欧州連合(EU)、その他の国々との間の赤字問題を解決したい。彼らはそれをやらなければならない。もし、彼らがそのことについて話し合いたいのなら、私は話し合う用意がある」
CNNは先に、トランプ政権がイスラエルやベトナム、インドとの関税に関する交渉の可能性について活発に協議を行っていると報じていた。
だが、ナバロ大統領上級顧問(通商・製造業担当)は、ベトナムの件や関税撤廃について質問を受けると、政権は交渉を行っていないと述べた。
ナバロ氏はFOXニュースの番組で「これは、交渉ではない。これは、不正な行為によって制御不能になった貿易赤字に基づく国家非常事態だ。我々は耳を傾ける用意がある。トランプ氏の得意技だ」とし、「しかし、私は世界に向けて言いたい。もし我々と話をしたいのならば、関税を下げて終わりにしたいなどと言わないでほしい」などと言い添えた。
ロリンズ農務長官も、関税が今後も続くのか、あるいは交渉の余地があるのかどうかについて、明言できなかった。
ベッセント財務長官は、トランプ氏が「自身のために最大限のレバレッジ(てこ)をきかせた」と語った。「数日や数週間交渉して解決できるようなものではない」
政府効率化省(DOGE)を率いる起業家のイーロン・マスク氏からは、米国と欧州の間で「関税ゼロの状況」を望んでいるとの発言も出ていた。