マスク氏、米欧間で「関税ゼロの状況」望む ナバロ大統領顧問を批判
(CNN) トランプ米政権の政府効率化省(DOGE)で表の顔を務める世界一の富豪、イーロン・マスク氏は5日、米国と欧州の間で「関税ゼロの状況」を望んでいることを明らかにした。
マスク氏はイタリア極右政党「同盟」の書記長を務めるサルビーニ副首相との動画インタビューで、「最終的には欧州も米国もゼロ関税状態へ移行することが理想で、欧州と北米の間に事実上の自由貿易圏を創設すべきだとの認識で一致していることを願う」と発言した。インタビューはフィレンツェで開催された同盟の党会合中に行われた。
マスク氏の発言に先立ち、トランプ大統領は2日、欧州連合(EU)からの輸入品に対して20%の関税を課す方針を発表していた。
マスク氏は自身が所有するX(旧ツイッター)での5日のやり取りで、一連の関税を推進してきたトランプ政権のナバロ大統領上級顧問(通商・製造業担当)を痛烈に批判した。
マスク氏はナバロ氏の学術的な経歴について、「ハーバード大で経済学の博士号を取得したのは悪いことであって、良いことではない」と投稿。電気自動車大手テスラの最高経営責任者(CEO)でもあるマスク氏はナバロ氏を「彼は何もやっていない」と酷評した。
マスク氏は政府効率化省(DOGE)でのコスト削減の役割が物議を醸しており、テスラの売り上げがここ数カ月で急落する様子を目の当たりにしている。欧州自動車工業会(AECA)によると、テスラの売り上げは欧州だけで今年1~2月に49%下落した。
イタリア運輸省によると、イタリアではテスラの1~3月期の売り上げは前年同期比で7%下落したという。
イタリアは昨年、米国との間で約390億ユーロ(約6兆2870億円)の貿易黒字を計上している。ジョルジェッティ経済財務相は5日、関税をめぐり米国との「緊張緩和」を目指す意向だと述べた。