居間にコロンブス像 NYに登場した日本人芸術家の作品
(CNN) 1492年に米大陸に到達した欧州の探検家クリストファー・コロンブスの像が、リビングルームの真ん中にそびえ立つ――。ニューヨーク・マンハッタンの街角に登場したユニークなアート作品が話題を呼んでいる。
「ディスカバリング・コロンブス(コロンブスの発見)」と名付けられたこの作品は、日本人芸術家の西野達氏がニューヨークの非営利団体、パブリック・アート財団に招かれて制作した。ロータリー交差点に120年前から立つ高さ約4メートルの大理石像の周りに、現代的なリビングルームを設営した。
像は道路から20メートル以上も上に設置されているため、これまでは通行人が気付いても遠目に見ることしかできなかった。西野氏はその高さまで足場を組み、空中に広さ約75平方メートルの部屋を再現。日常的なソファや本棚、薄型テレビなどに囲まれて、コロンブスがテーブルの上に立っているという非日常空間を作り出した。壁紙にはミッキーマウスやマイケル・ジャクソン、マリリン・モンローなど、米国の大衆文化を代表するキャラクターを配した。
訪れる人はソファーなどでくつろぎながら、像を間近に見ることができる。窓にはセントラルパークやブロードウェーを見渡す100万ドルの眺望が広がる。
西野氏はこれまでも世界各地で、普段近寄れないものの周囲にリビングルームを構築する作品を発表してきた。同財団からは2年前に話があり、市内をくまなく歩き回った結果、この像を選んだ。「人物としてコロンブスを選んだのではない。見る対象としてこの彫刻を、場所としてこの広場を選んだだけ」と話す同氏は、作品の目的について「公共の像をまったく違う物に変えることだ」と語った。
作品の公開期間は9月20日~11月18日。同財団のウェブサイトで、リビングルームに30分間滞在できる無料チケットの予約を受け付けている。期間終了後には像の補修作業が予定されているという。