バイリンガルの脳は高齢になっても効率的? 神経学者らが研究
(CNN) 2つの言語を使い分ける「バイリンガル」の人は、年を取っても頭の働きが衰えにくいとする研究結果が、近年相次いで報告されている。米国の神経科学者らがこのほど、脳の活動を画像化する装置を使ってその仕組みに迫った。
研究の成果は米神経科学学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」の最新号に掲載された。研究チームはまず成人110人を対象に、言語背景についてのアンケートを実施。10歳以下の子ども時代から毎日、英語のほかにもう1つの言語を話してきたグループを「生涯バイリンガル」と位置づけた。
対象者にさまざまなテストを実施してスコアを比較したところ、生涯バイリンガルのグループと英語のみを話すグループで、単純な記憶保持能力の平均値にはほとんど差がなかった。しかし、複数の課題間の切り替えが要求されるテストでは、高齢のバイリンガル・グループが英語のみのグループに比べて素早い反応を示した。こうした差は若い年齢層ではみられなかったという。
テスト中の脳の様子を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調べたところ、バイリンガルの人の脳は高齢になっても若者と同じようなパターンで活動していることが分かった。前頭葉の中の意識的努力にかかわる領域の活動が低いことが、高齢バイリンガルのよりよい反応に関係すると研究者は考える。