マウス実験で「偽の記憶」形成に成功 日米研究
翌日、「B箱」に入れて足に軽い刺激を与えると同時に、前日の脳細胞に光を当ててA箱での記憶を活性化させ、A箱での記憶とB箱での刺激を結び付けた。
3日目にマウスをA箱に戻したところ、この箱では刺激を経験していないにもかかわらず、怖がる反応を見せた。やがて偽の記憶と関連付けられた細胞を人為的に活性化しなくても、怖がる様子を見せるようになったという。
偽の記憶がよみがえる脳の仕組みは、実際の記憶を司る仕組みと非常によく似ていると研究チームは指摘する。実際に経験していないことを現実のように思い込んでしまうことがあるのも、それで説明がつくといい、偽の記憶が作られるのは単なる混乱や想像ではなく、脳の働きによるものだと解説している。
この研究は、例えば統合失調症などで幻覚を見るような患者の治療法解明につながることが期待される。
また、記憶に基づく証言を犯罪捜査の証拠とすることには極めて慎重になるべきだと利根川氏は指摘している。